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TORENDIA

人間腸詰

本文約21,500字 ・ 読了時間 約44分

あらすじ(AIが作成しました)

明治時代、台湾総督府から博覧会へ派遣された職人が、渡航先の亜米利加で遭遇した戦慄の体験を回想する。現地でギャングに関わり、危うく「人間腸詰」にされかけた記憶は、帰路の船上で手にした缶詰に刻まれた異様な痕跡によって、にわかに現実味を帯び始める。世界を一周して帰国することの重みと、異国の地で垣間見た闇の深さを語る怪奇的な逸話。

夢の久作(夢野久作)

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あっしの洋行の土産話ですか。

イヤハヤどうも……あんまり古い事なんで忘れちゃいましたよ。何なら御勘弁願いたいもんで……ただもうビックリして面喰って、生命からがら逃げて帰って来たダケのお話でゲスから……。

……ヘエ……あの話。あの話と申しますと? ヘエ。世界が丸いお蔭で、あっしが腸詰になり損なった話……。

うわあ。こいつあ驚いた。誰からお聞きになったんで。ヘエ。あの植木屋の六から……弱ったなあドウも。飛んでもねえ秘密をバラしやがって……アイツのお饒舌と来た日にゃ手が附けらんねえ。死んだ親父から聞きやがったんだナ畜生……誰にも話したこたあねえのに……。

ヘエヘエ。これあドウモ御馳走様でゲス。こうやって自分の手にかけたお座敷で、兄弟分がこしれえたお庭を眺めながら、旦那様のお相伴をして一杯頂戴出来るなんて職人冥利の行止まりでげしょう。ヤッ、これあドウモ奥様のお酌で……どうぞお構い遊ばしませんで……手酌で頂戴いたしやす。チイット世界が丸過ぎるようで。ヘヘヘ。オットット……こぼれますこぼれます。

それじゃそのガリガリの一件から世界のマン丸いわけが、わかったてえお話を冒頭からやって見やすかね……ガリガリてなあ人間を豚や犬とゴッチャにして腸詰めにする器械の音なんで……ヘエ。亜米利加に今でも在る。旦那様も御存じ……ヘエヘエ……そのガリガリの中へあっしが這入り損ねたお話なんでゲスからアンマリ気持のいいお話じゃ御座んせん。亜米利加では人を殺すとアトがわからねえように腸詰めにしちまうんだそうですからね。今思い出してもゾッとしますよ。お酒のお肴になるようなお話じゃねえんで……何なら御免を蒙りてえんで……。

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