かけっこ
本文約3,900字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
一年を通じて最も早く走った者に与えられる一等賞と二等賞をめぐり、ウサギ、カタツムリ、ツバメらがそれぞれの功績を主張する。審判官である柵の杭や測量標、ラバたちが、アルファベットを用いた計算や美しさ、熱心さといった独自の基準に基づいて判定を下す過程を描く。周囲の動物たちが議論を交わす中で、賞の是非や評価のあり方、さらに自然の摂理に対するそれぞれの考え方が示され、最終的に受賞者たちの待遇が決定される物語。
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ごほうびの賞が、一つ出ました。いいえ、ほんとうは二つです。小さい賞と大きい賞の二つです。いちばん早いものが、この賞をもらえます。といっても、それは一回きりの競走で、早かったものがもらえるのではありません。一年じゅうをとおして、いちばん早く走ったものがもらえるのです。
「ぼくは、一等賞をもらった」と、ウサギが言いました。「審判官の中に、親類や親しい友だちが、まじっているときには、よくよく注意して、正しくきめるようにしなければいけない。カタツムリくんは二等賞をもらったが、ぼくに言わせれば、これは、どうもばかにされたようで、おもしろくない」
「いや、そんなことはないよ」と、さくのくいが、きっぱりと、言いました。このくいは、賞をあたえるときに、その場にいあわせた人です。「熱心さと、親切ということも、考えに入れなくてはならんからね。尊敬すべき、二、三の人たちも、そう言っていた。もちろん、ぼくも同じ考えだった。たしかに、カタツムリくんは、戸のしきいをこえるのに、半年もかかっている。だが、それでも、カタツムリくんとしては、せいいっぱい、いそいだわけで、そのために、ももの骨まで折ってしまった。カタツムリくんは、ただただ、走ることだけを考えて生きてきた。しかも、自分の家をせおって、走ったんだよ。――じつに、感心なことじゃないか。だからこそカタツムリくんは、二等賞をもらったんだよ」
「ぼくのことも、考えてもらいたかったですね」と、ツバメが、口を出しました。「まず、とぶことと、くるりと回ることについては、ぼくより早いものは、いないはずですからね。それに、ぼくは、どんなところへもとんでいっているんですよ。遠い、遠いところまで!」
「そのとおり。それが、かえって、きみの不幸なんだよ」と、さくのくいが、言いました。「きみは、あんまりとびまわりすぎるよ。寒くなりはじめると、いつもきまって、この国からどこかへ行ってしまう。きみは、自分の生れた国を愛するという、気持を持っていない。それで、きみは、考えにいれてもらえなかったんだよ」