ひらめの学校の女の校長先生は、このごろお年をとって眼鏡をかけました。とても大きい眼鏡なので、生徒はびっくりしていました。
「まア、何て大きい眼鏡でしょうねえ。あれでは陸の上まで見えるでしょうよ。此の間、校長会議で竜宮へいらっした時、竜宮の街で、あの眼鏡を貰っていらっしゃった[#「しゃった」は底本では「しゃつた」]ンですって。」
生徒たちは、海の底の砂地に腹這ってそんな話をしていました。とてもいいお天気で、海の底にもガラスのようなまっさおい光りが透けて、水泡がぷつぷつと舞いあがっているといった気持ちのいいお天気です。
「あっ、体操の先生よ。」
この間、ハイキングにいらっして、ちょっと、尻尾をお怪我なすった体操の男の先生は、大きい尻尾にほうたいをしていらっしゃいました。
「先生、おはようございます。」
「先生、おはよう。」
体操の先生はちょこんと紅白の運動帽をかぶって生徒たちのところへいらっしゃいました。
「今日は、みなさんを連れて、鯖村まで見学に行きます。みなさんが、いままでに見たこともない大きい怪物が天界から降って来たそうです。飛魚さんのようなかっこうをして、何だかものすごく大きくて動く事も出来ないものだそうです。」
小さいひらめの生徒は、わあっと声をあげてよろこびました[#「よろこびました」は底本では「よろこまびした」]。気の早い生徒はもう浮きたって、ごぼごぼと舞い上ってゆくものもありました。
体操の先生は、急に、ピリピリと笛を鳴らしました。
「あわてものは誰ですか、みんな二列に並んで、きちんと列をくずさないように泳ぐのですよ。この間みたいに、おこぜにいじめられると困るでしょう。いいですか、先生の後からしずかに泳ぐのですよ。鯖村では、村長さんがみんなに御馳走して下さるそうです。校長先生もいらっしゃるのですよ。鯖村まで、約二キロです。正しく列を組んで泳ぎましょう。」