朝御飯
本文約2,900字 ・ 読了時間 約6分
あらすじ(AIが作成しました)
倫敦や巴里での滞在経験や旅先での宿泊、日常の食卓を題材に、著者自身の嗜好を交えながら朝食の献立や味わい方を綴る。味噌汁や御飯といった日本の風習に触れつつ、パンや紅茶、野菜を用いた独自の工夫や、季節ごとの楽しみ方を列挙する。また、宿屋で供される朝食の思い出や、食材の相性に対する独自の視点を記し、日常の食事に対するこだわりと食への深い愛着を表現する随筆である。
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倫敦で二ヶ月ばかり下宿住いをしたことがあるけれど、二ヶ月のあいだじゅう朝御飯が同じ献立だったのにはびっくりしてしまった。オートミール、ハムエッグス、ベーコン、紅茶、さすがに閉口してしまって、いまだにハムエッグスとベーコンを見ると胸がつかえそうになる時がある。
日本でも三百六十五日朝々味噌汁が絶えない風習だ。英国の朝食と云うのは、日本の味噌汁みたいに、三百六十五日ハムエッグスがつきものなのだろうか。但し倫敦のオートミールはなかなかうまいと思った。熱いうちにバタを溶いて食塩で食べたり、マアマレイドで味つけしたり、砂糖とミルクを混ぜて食べたりしたものだった。
巴里では、朝々、近くのキャフェで三日月パンの焼きたてに、香ばしいコオフィを私は愉しみにしていたものである。――朝御飯を食べすぎると、一日じゅう頭や胃が重苦しい感じなので、巴里的な朝飯は、一番私たちにはいいような気がする。
淹れたてのコオフィ一杯で時々朝飯ぬきにする時があるが、たいていは、紅茶にパンに野菜などの方が好き。このごろだったら、胡瓜をふんだんに食べる。胡瓜を薄く刻ざんで、濃い塩水につけて洗っておく。それをバタを塗ったパンに挟んで紅茶を添える。紅茶にはミルクなど入れないで、ウイスキーか葡萄酒を一、二滴まぜる。私にとってこれは無上のブレック・ファストです。
徹夜をして頭がモウロウとしている時は、歯を磨いたあと、冷蔵庫から冷したウイスキーを出して、小さいコップに一杯。一日が驚くほど活気を呈して来る。とくに真夏の朝、食事のいけぬ時に妙である。