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TORENDIA

嵐

本文約4,200字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

病気療養のため漁師町の宿に滞在する語り手は、松原の小屋に住む熊という無口で不思議な男と日毎に顔を合わせていた。ある夜、浜を揺るがす大嵐が襲い、明朝には熊の小屋は跡形もなく壊れていた。浜辺で無心に流木を拾い集める熊の姿を眺めながら、語り手は彼の過ぎ去った半生と人知れぬ悲哀に思いを馳せる。自然の猛威と、それに翻弄されつつも淡々と生きる一人の男の姿を鮮明に描き出した作品である。

寺田寅彦

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🎧 嵐 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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始めてこの浜へ来たのは春も山吹の花が垣根に散る夕であった。浜へ汽船が着いても宿引きの人は来ぬ。独り荷物をかついで魚臭い漁師町を通り抜け、教わった通り防波堤に沿うて二町ばかりの宿の裏門を、やっとくぐった時、朧の門脇に捨てた貝殻に、この山吹が乱れていた。翌朝見ると、山吹の垣の後ろは桑畑で、中に木蓮が二、三株美しく咲いていた。それも散って葉が茂って夏が来た。

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