TORENDIA
電車と風呂
寺田寅彦
TORENDIA
電車と風呂
本文約4,800字 ・ 読了時間 約10分
あらすじ(AIが作成しました)
電車に乗る人々の不愉快で緊張した表情を目にした著者は、文明の利器が人々に与える影響を考察する。東京市民が銭湯で一様に寛いだ表情を見せることに着目し、公衆浴場が持つ精神的開放効果を論じる。文明の刺激が過度な緊張を生む中で、風呂という空間が人々の心に余裕をもたらし、社会的な対立や過激な思想を緩和する可能性を示唆し、理想的な共用施設について夢想する。
速度
🎧 電車と風呂 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら
💰 この本を応援する(投げ銭)
1 / 7
電車の中で試みに同乗の人々の顔を注意して見渡してみると、あまり感じの好い愉快な顔はめったに見当らない。顔色の悪い事や、眼鼻の形状配置といったようなものは別としても、顔全体としての表情が十中八、九までともかくも不愉快なものである。晴れ晴れと春めいた気持の好い表情は、少なくも大人の中にはめったに見付からない。大抵神経過敏な緊張か、さもなくば過度の疲労から来る不感が人々の眼と眉の間や口の周囲に残忍に刻まれている。たまには面白そうに笑っている人があってもその笑いは多くの場合には笑わないよりも一層気持の悪い笑いである。これらの沢山の不愉快な顔が醸す一種の雰囲気は強い伝染性を持っていて、外から乗り込んで来る人の心に、すぐさま暗い影を投げないではおかない、そして多くの人の腹の虫の居所を変えさせようとする傾向がある。
寺田寅彦の他の作品
TORENDIA
雪ちゃん
寺田寅彦
雪ちゃん
寺田寅彦 ・ 約6分
TORENDIA
やもり物語
寺田寅彦
やもり物語
寺田寅彦 ・ 約17分
TORENDIA
森の絵
寺田寅彦
森の絵
寺田寅彦 ・ 約5分
TORENDIA
明治三十二年頃
寺田寅彦
明治三十二年頃
寺田寅彦 ・ 約6分
TORENDIA
祭
寺田寅彦
祭
寺田寅彦 ・ 約4分
TORENDIA
まじょりか皿
寺田寅彦
まじょりか皿
寺田寅彦 ・ 約10分
TORENDIA
星
寺田寅彦
星
寺田寅彦 ・ 約1分
TORENDIA
二つの正月
寺田寅彦
二つの正月
寺田寅彦 ・ 約7分
TORENDIA
病院風景
寺田寅彦
病院風景
寺田寅彦 ・ 約10分
TORENDIA
半日ある記
寺田寅彦
半日ある記
寺田寅彦 ・ 約8分
TORENDIA
初旅
寺田寅彦
初旅
寺田寅彦 ・ 約5分
TORENDIA
根岸庵を訪う記
寺田寅彦
根岸庵を訪う記
寺田寅彦 ・ 約12分
同じジャンルの朗読つきの本
TORENDIA
樂しい手術
中谷宇吉郎
樂しい手術
中谷宇吉郎 ・ 約3分
TORENDIA
侠客の種類
幸田露伴
侠客の種類
幸田露伴 ・ 約14分
TORENDIA
寝る前の三つの
点検 ― 冬の
暖房と火の用心
、逃げ遅れを防
霧島 蒼
寝る前の三つの点検 ― 冬の暖房と火の用心、逃げ遅れを防ぐ家の備え
霧島 蒼 ・ 約26分
TORENDIA
我輩の智識吸収
法
大隈重信
我輩の智識吸収法
大隈重信 ・ 約7分
TORENDIA
非常歎願書
田中正造
非常歎願書
田中正造 ・ 約16分
TORENDIA
非凡人と凡人の
遺書
岡本一平
非凡人と凡人の遺書
岡本一平 ・ 約3分
TORENDIA
手紙
坂本龍馬
手紙
坂本龍馬 ・ 約6分
TORENDIA
無題抄
上村松園
無題抄
上村松園 ・ 約5分