TORENDIA
狂人日記
魯迅
TORENDIA
狂人日記
本文約8,100字 ・ 読了時間 約17分
あらすじ(AIが作成しました)
「人が人を食う」という思い込みにとらわれた男が、周囲の人々を疑う日記。封建的な社会を、告発した、中国近代文学の出発点となる作品。
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某君兄弟数人はいずれもわたしの中学時代の友達で、久しく別れているうち便りも途絶えがちになった。先頃ふと大病に罹った者があると聞いて、故郷に帰る途中立寄ってみるとわずかに一人に会った。病気に罹ったのはその人の弟で、君がせっかく訪ねて来てくれたが、本人はもうスッカリ全快して官吏候補となり某地へ赴任したと語り、大笑いして二冊の日記を出した。これを見ると当時の病状がよくわかる。旧友諸君に献じてもいいというので、持ち帰って一読してみると、病気は迫害狂の類で、話がすこぶるこんがらがり、筋が通らず出鱈目が多い。日附は書いてないが墨色も書体も一様でないところを見ると、一時に書いたものでないことが明らかで、間々聯絡がついている。専門家が見たらこれでも何かの役に立つかと思って、言葉の誤りは一字もなおさず、記事中の姓名だけを取換えて一篇にまとめてみた。書名は本人平癒後自ら題したもので、そのまま用いた。七年四月二日しるす。
一
今夜は大層月の色がいい。
乃公は三十年あまりもこれを見ずにいたんだが、今夜見ると気分が殊の外サッパリして初めて知った、前の三十何年間は全く夢中であったことを。それにしても用心するに越したことはない。もし用心しないでいいのなら、あの趙家の犬めが何だって乃公の眼を見るのだろう。
乃公が恐れる理がある。
二