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TORENDIA

大井広介といふ男

本文約4,100字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

昭和十五年に雷門で出会った大井広介という人物の奇妙な家族と生活、そして文学観を綴る。大井はレビューや相撲、映画に精通し、家族と共に絶えず口論を繰り返す個性的な日常を送る。日常のすべてが文学に結びつくべきだと考える著者は、憂鬱や感傷と無縁な大井が、公式に捉われない独自の独断的な文学を築き上げる可能性と、文学の真髄を会得することへの期待を論じる。

坂口安吾

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🎧 大井広介といふ男 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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大井広介に始めて会つたのは昭和十五年大晦日午後七時、葉書で打合せて雷門で出会つた。その晩、大井広介は至極大真面目で、自分はインチキ・レビューの愛好家で、女性美はレビューの動きに極致があると信じてゐるから、自分の娘もレビューガールにするつもりである。三つの頃からレビューを見せて仕込んでゐるが、足が長くレビューガール向きの身体のくせに、生れつき踊りの才能がなくて閉口してゐる、とこぼした。酔つ払つてゐたわけではなく、至極マジメなものである。これは又評論書きにも似合はない奇々怪々な先生だと思つて、ひどく好きになつてしまつた。そこで「現代文学」の同人になることを承諾した。

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