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TORENDIA

建築の本義

本文約2,100字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

建築の本義とは何かという問いに対し、哲学的な定説は永久に成立し得ないと考え、日常の食になぞらえて建築における善美を論じる。善とは科学的条件の具足、美とは芸術的条件の具足であり、土地の風土や個人の境遇など多種多様な素因が絡み合う中で、一律の理想を課すことは困難であるとする。建築の本義を巡る論議が絶えず交わされることで建築界が活性化し、個々がそれぞれの環境に応じた善美な建築を追求し続けることの重要性を綴る。

伊東忠太

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🎧 建築の本義 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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近頃時々我輩に建築の本義は何であるかなどゝ云ふ六ヶ敷い質問を提出して我輩を困らせる人がある。これは近時建築に對する世人の態度が極めて眞面目になり、徹底的に建築の根本義を解決し、夫れから出發して建築を起さうと云ふ考へから出たことで、この點に向つては我輩は衷心歡喜を禁じ得ぬのである。

去りながらこの問題は實は哲學の領分に屬するもので、容易に解決されぬ性質のものである。古來幾多の建築家や、思想家や、學者や、藝術家や、各方面の人がこの問題に就て考へた樣であるが、未だ曾て具體的徹底的な定説が確立されたことを聞かぬ。恐らくは今後も、永久に、定論が成立し得ぬと思ふ。若しも、建築の根本義が解決されなければ、眞正の建築が出來ないならば、世間の殆んど總ての建築は悉く眞正の建築でないことになるが、實際に於ては必しも爾く苛酷なるものではない。勿論この問題は專門家に由て飽迄も研究されねばならぬのであるが。我輩は、茲には深い哲學的議論には立ち入らないで、極めて通俗的に之に關する感想の一端を述べて見よう。

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