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TORENDIA

犬と人形

本文約1,500字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

東京で大地震と大火事が発生し、太郎と花子は親類のばあやの家へ避難する。二人は愛犬のポチと人形のメリーが夢の中で助けを求める様子を見るが、両親からは焼失を言い渡される。帰宅後、人形が無事だったことで希望を抱いた二人だが、ポチの姿は見当たらず、太郎は墓を建てる。しかし、夜中に響く犬の鳴き声に太郎が駆けつけると、泥棒を追い払うポチの姿があった。夢の通り再会を果たした子供たちの喜びと、愛犬の活躍を描く。

夢野久作

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🎧 犬と人形 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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東京では今度大地震と大火事がありましてたくさんのひとが死にました。死ななかったひともおうちやきものやたべものがなくなって大変に困りました。

太郎さんと花子さんは、お父様とお母様に手を引かれて東京の近所のばあやの処へ逃げて来ました。二人は久し振りに親切なばあやのお話をきいてよろこんでおとなしくねむりました。

ところが夜中になると太郎さんはねむったまま大きな声を出して、

「ポチ、ポチ」

とよびました。すると花子さんもねむったままで、

「メリーさん、メリーさん」

と呼びました。そうしてまたスヤスヤとねむりました。お父様とお母様とは顔を見合わせて、

「犬とお人形の夢を見ているのですよ」

「どちらも焼けてしまっただろう。可哀そうに……」

と言われました。

あくる朝、太郎さんと花子さんは二人揃ってお父様とお母様の前へ出て、

「どうぞも一ペン東京に連れて行って下さい。あたしたちは昨夜二人共同じ夢をみました。ポチもメリーちゃんも焼けずにいて、早くお迎えに来て頂戴っておまねきをしていましたから」

と言いました。お父さんもお母さんも大層お笑いになって、

「そんな事はない。犬は逃げたかも知れないが、人形は押入れに仕舞ってあったのだから、きっと焼けてしまったに違いない。もうしかたがないから二人ともおとなしく遊ぶのですよ。そうしたら今に又いい犬といいお人形を買って上げるから」

と言われました。

二人は悲しくなってシクシク泣き出しましたが、やがて花子さんはばあやのお庭の隅に、「メリーさんのお墓」と書いた木の札を立ててコスモスやケイトーの花を上げて拝みました。太郎さんは、

「ポチが生きていればメリーチャンもきっと焼けないでいるよ。まだよくわからないのだからお墓を建てるのおよしよ」

と止めましたが、花子さんはただシクシク泣いて拝んでいました。

火事がすっかり済んでから、お父様は一人でお家の焼けあとを見にいらっしゃいましたが、夕方になると急いで帰って来て、

「うちはたった一軒焼け残っていた。さあみんな来い」

と大喜びで、ばあやも連れて東京のおうちへお帰りになりました。

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