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TORENDIA

榛名湖の公魚釣り

本文約640字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

榛名湖で十二月中旬から二月一杯にかけて行われる公魚釣りの様子と、独特の仕掛けや愉しみを綴る。他の産地に比べ形が大きく、色艶も良く、食味に優れたこの地の公魚について触れる。湖面が氷結する季節には厚い氷に穴を開けて釣る方法をとるが、小舟を浮かべて行う脈釣りの面白さも併せて紹介する。周囲を山々に囲まれた美しい榛名湖で釣り糸を垂れる格別の気分を、調理法の紹介と共に活写する随筆である。

佐藤垢石

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🎧 榛名湖の公魚釣り / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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榛名湖の公魚釣りは非常に繁盛である。

十二月中旬から釣れはじめたのであるが、二月一杯は釣れるであろう。例年からみると魚の育ちが大そうよろしく、四寸五分乃至五寸、平均五匁はある。

毎日少ない日でも三、四十人、多い日には七、八十人の釣り手が湖上に右往左往して大した賑わいである。それが極めて初歩の人でも一日に五、六十尾は下らない。名手になると二百尾以上も釣るから、貫目釣りである。

本場といわれる霞ヶ浦から東京市中へ出てくるものは、形の小さい上に渋味が強く、色が黒ずんでいて、上等の食味を持っているとはいえない。

ところが榛名湖の公魚は、丈は長い上にまるまる肥っていて、どうした関係か渋味が少ない。それから体色も若鮎のような光りを持っていて、あの香りこそないが味は若鮎と同じである。

白焼きの橙酢、から揚げ、ふらい、椀種、味噌田楽。何にしてもおいしい。チリ鍋にしようものなら思わず晩酌を過ごす。

十二月の中旬、木枯らしは梢の効用を吹き飛ばした頃は、まだ湖面に氷が張っていないから小舟を水に浮かべて釣ったが、一月に入ると湖はすっかり氷結するから、厚い氷へ、一尺四方くらいの穴をあけて、そこへ鈎を下ろすのである。ブルブルと面白いように釣れる。

榛名富士、相馬山、ヤセオネ、天神峠に囲まれた、広いなだらかな火口原の野の末に、描いたような枯れ林を水際に映した美しい榛名湖で、公魚を釣る気分はまことに愉快である。

しかし氷の穴から釣るよりも、水に舟を浮かべて釣る方が面白い。すべて脈釣りで、ここ独特の仕掛けである。

完

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