眼鏡
本文約1,600字 ・ 読了時間 約4分
あらすじ(AIが作成しました)
三年生で近視になった道子は、眼鏡を掛ける自分を鏡で見つめ、期待と不安を抱く。兄との軽妙なやり取りを通じ、女性が眼鏡を掛ける意味について思案を巡らせる。やがて道子は、結婚式の晩に悲しげであった兄嫁の真意を知る。かつての親友と誓った独身の約束を裏切った後ろめたさに苦悩していた兄嫁は、その友人の結婚を知り、眼鏡を外して涙を拭い、幸福な笑顔を見せる。眼鏡をかけた女性たちの心理と、交錯する想いを繊細に描く。
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三年生になった途端に、道子は近視になった。
「明日から、眼鏡を掛けなさい。うっちゃって置くと、だんだんきつくなりますよ」
体格検査の時間にそう言われた時、道子はぽうっと赧くなった。なんだか胸がどきどきして、急になよなよと友達の肩に寄りかかって、
「うっちゃって置くと、ひどくなるんですって」
胸を病んでいると宣告されたような不安な顔をわざとして見せたが、そのくせちっとも心配なぞしていなかった。むしろいそいそとした気持だった。
その晩、道子は鏡台の傍をはなれなかった。掛けてははずし、はずしては掛け、しまいに耳の附根が痛くなった。
――風邪を引いて、首にガーゼを巻いた時めたいに[#「めたいに」はママ]、明日はしょんぼりうなだれて学校へ行こうかしら。そしたら、みんな寄って慰めてくれるわ。それとも、しゃきんと胸を張って、行こうかしら、素敵ね、よく似合うわ、と言ってくれるわ。
そんなことを考えていると、
「おい、道子。だらしがねえぞ。いつまで鏡にへばりついてるんだ」
兄にひやかわれた[#「ひやかわれた」はママ]。
「兄さまだって、はじめて背広着た時は、こうやって……」
「莫迦! あの時はネクタイを結ぶ練習をしたんだ。同じにされてたまるかい。ネクタイには結び方があるが、眼鏡なんか阿呆でも掛けられる。眼鏡を掛ける練習なんて、きいたことがねえよ」
「はばかりさま、眼鏡にでも掛け方はありますわよ。お婆さんみたいに、今にもずり落ちそうなのもあるし、お爺さんみたいに要らぬ時は、額の上へ上げてしまうのもあるし……」
「どっちみち、お前なんか、どう掛けてみたって、似合いっこはないよ。いい加減のところで妥協して、あっさり諦めてしまうんだな」
「あら」
「それに、元来女の眼鏡といむ[#「いむ」はママ]奴は誰が掛けたって、容貌の三割がとこは、低下するものさ。おまけに、頭の良い人間は眼鏡なんか掛けんからね。生理学的にいっても、眼の良いものは、頭が良いにきまっている。その証拠に、横光でも川端でも、良い小説家は皆眼鏡を掛けておらん。小説家に眼鏡を掛けたのはすくないからね」
「でも、林芙美子さんは、掛けているわ」