TORENDIA
今昔物語
和田萬吉
TORENDIA
今昔物語
本文約390字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
風采の冴えない才子・大江匡衡が、からかおうとした宮中の女官たちを機知に富んだ一首の歌でやり込める、今昔物語の一話を平易に語り直した和田萬吉の文章。
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むかし、式部大輔大江匡衡といふ人がありました。まだ大學の學生であつた時のことであります。この人は傑れた才子でありましたが形恰好が少し變で、丈は高く肩が突き出て、見苦しかつたので、人々が笑つてゐました。ある時、宮中の女官たちがこの匡衡を嘲弄しようと企んで、和琴(日本の琴、支那の琴に對していふ)を差し出して、
「あなたは、なんでも知つておいでなされるといふことであるから、これをお彈きになるでせう。一つ彈いて聞かせて下さい」
といひました。匡衡は、それには返事をしないで、
逢坂の關のあなたもまだ見ねば
あづまのことも知られざりけり
といふ歌を讀みました。女官たちは、その返歌が出來なかつたので、笑つて嫌がらせることもならず、默つて一人起ち、二人起ちして、みな奧へ逃げてしまひました。
この匡衡は漢文や、詩の方は至極の名人であつたが、その上に歌もこの通り、うまく讀んだと語り傳へたそうです。
完