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TORENDIA

ざしき童子のはなし

本文約1,800字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

山あいの静かな家や子供たちの輪、あるいは渡し守の舟の中にふと姿を現す「ざしき童子」。箒で掃く音が響く昼下がりの座敷、遊んでいる子供の数がいつの間にか増えている不思議な光景、そして家々の盛衰や人の運命に関わるという言い伝え。東北地方の素朴な伝承に基づき、人々の日常にひょっこりと現れては去っていく、不可思議な存在の姿や彼らにまつわる様々な出来事を綴る。

宮沢賢治

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🎧 ざしき童子のはなし / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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ぼくらの方の、ざしき童子のはなしです。

あかるいひるま、みんなが山へはたらきに出て、こどもがふたり、庭であそんでおりました。大きな家にだれもおりませんでしたから、そこらはしんとしています。

ところが家の、どこかのざしきで、ざわっざわっと箒の音がしたのです。

ふたりのこどもは、おたがい肩にしっかりと手を組みあって、こっそり行ってみましたが、どのざしきにもたれもいず、刀の箱もひっそりとして、かきねの檜が、いよいよ青く見えるきり、たれもどこにもいませんでした。

ざわっざわっと箒の音がきこえます。

とおくの百舌の声なのか、北上川の瀬の音か、どこかで豆を箕にかけるのか、ふたりでいろいろ考えながら、だまって聴いてみましたが、やっぱりどれでもないようでした。

たしかにどこかで、ざわっざわっと箒の音がきこえたのです。

も一どこっそり、ざしきをのぞいてみましたが、どのざしきにもたれもいず、ただお日さまの光ばかりそこらいちめん、あかるく降っておりました。

こんなのがざしき童子です。

「大道めぐり、大道めぐり」

一生けん命、こう叫びながら、ちょうど十人の子供らが、両手をつないでまるくなり、ぐるぐるぐるぐる座敷のなかをまわっていました。どの子もみんな、そのうちのお振舞によばれて来たのです。

ぐるぐるぐるぐる、まわってあそんでおりました。

そしたらいつか、十一人になりました。

ひとりも知らない顔がなく、ひとりもおんなじ顔がなく、それでもやっぱり、どう数えても十一人だけおりました。そのふえた一人がざしきぼっこなのだぞと、大人が出て来て言いました。

けれどもたれがふえたのか、とにかくみんな、自分だけは、どうしてもざしきぼっこでないと、一生けん命眼を張って、きちんとすわっておりました。

こんなのがざしきぼっこです。

それからまたこういうのです。

ある大きな本家では、いつも旧の八月のはじめに、如来さまのおまつりで分家の子供らをよぶのでしたが、ある年その一人の子が、はしかにかかってやすんでいました。

「如来さんの祭りへ行きたい。如来さんの祭りへ行きたい」と、その子は寝ていて、毎日毎日言いました。

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