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TORENDIA

親馬鹿の旅

本文約1,200字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

金銭の貸し借りに目途が立ち心軽やかになった筆者は、八歳と六歳の次男、三男を連れて旅に出る。江の島を目指した一行は、海辺の風景や名所を巡り、鎌倉の大仏を見学する。しかし子供たちの反応は今ひとつで、親の期待とは裏腹に、彼らは貝細工や鮑取りにも関心を示さない。最終的に箱根の塔ノ澤温泉へ向かい、そこで子供たちが湯の中で無邪気に遊ぶ姿を見て、筆者は旅の目的と子供の心について自らの認識の甘さを綴る。

大町桂月

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🎧 親馬鹿の旅 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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金さへ返せば、鬼も佛。重荷の一部がおりたかと思へば、我心も輕くなり、金なほ餘れるに、家に歸るより早く、さあ來い、何處へでも、伴れて行つてやらうと、次男と三男とをつれて、立ち出でたり。長男は、近く箱根へつれて行きしことあり、學校の都合もあり、殊に、この日、家にあらざりければ、つれざる也。

さて、都を離れて、何處へゆけば子供は面白がるかと、いろ/\考へしが、江の島は、山もあり、海もあり、貝細工あり、鮑取りもあれば、子供をつれての旅は、これに越したる處はあらざるべしとて、江の島へと思ひ定めて、新橋より汽車に乘る。

まだ次男が八歳、三男が六歳の時の頃也。風寒ければ、汽車の窓は開かず。玻璃越しに、山を眺め、海を眺め、田を眺め、茅屋を眺め、煙突を眺め、荷車を眺め、行人を眺めて、喜びあひしが、冬の日脚低く、夜に入りて、江の島に到りて宿る。晩食の膳に大いなる鰕上りけるに、兒等いたく喜べり。

あくる日、起き出づれば、太陽將に海洋の彼方に上らむとす。日の出を見よと、二兒を呼び起す。二兒、眼をこすり/\日の出を眺めけるが、さまで喜べる樣も無し。二兒をつれて、濱邊を散歩しけるに、一艘の漁舟、沖より歸りしばかりにて、漁せし鰕、少しばかり舟に有り。それを買ふ。これで少しは喜べるさま也。

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