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TORENDIA

親子遠足の感

本文約1,800字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

旅行を好む著者が、子供たちに旅行の楽しさと脚力を養わせる教育方針を綴る。本書は、安積艮齋の紀行を引用して親が子に旅をさせる意義を説きつつ、長男と次男を連れて行った近郊への遠足の様子を描く。東村山の史跡巡りから荒幡の新富士での展望、多摩川の羽村の堰の見学まで、親子三人で歩き回る旅路を記録する。旅の途中で体験する質素な食事や未知の植物との遭遇など、実践的な学びを通じて子供たちの成長を促す父の姿と、自身の旅行体験を振り返る。

大町桂月

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🎧 親子遠足の感 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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『獅子、子を生めば、必ず之を深谷に墜す。能く出づる者は之を育て、能はざる者は棄てて顧みず。これ誠に獸のみ。人は則ち是に異なり。其の能不能を問はず、必ず之を愛養す。然れども、遠途を渉り、難阻を歴、風土、謠俗、山水の變態を知らしむ。諺に可愛き子には旅させよとは、亦獅子が谷に墜すの意也。予、三子あり。長を九文といふ。生れて四歳、疥を患ふ。百方之を療すれども已まず。年已に十三、瘡珠攅簇、肌膚鮫魚の皮の如く、痛痒忍ぶべからず。予、大いに戚ふ。且つ大都に生れ、見る所は唯紛華の地、共に嬉ぶ所は、唯裙屐の子弟、未だ曾て一歩も都門を出でざる也。是を以て、肉緩み、皮慢に、筋骸相束ねず、ほゞ慷慨激昂の氣なし。予又甚だ之を憂ふ。因りて謂もへらく、上毛の草津温泉は、疥を治すに效あり、兒をして澡浴して疾を療し、兼ねて旅の艱を知らしむれば、これ兩得なり。』  これ安積艮齋の紀行の一節也。げに、親の心は、さもあるべし。予にも三子あれども、幸に艮齋の子の如き病氣なし。たゞ余は旅行を好むこと甚しく、旅行の益を熟知す。その益を兒等にも得させむとて、折々旅行に伴ふ。さは云へ、親につれられての旅行は、所謂可愛き子は旅させよの眞意を得たるものに非ず。單身獨歩にして、よく艱苦缺乏と鬪ひて、はじめて可愛き子の旅といふべきもの也。然し、それは、十七八歳以上の事也。十歳内外より十五六歳までは、をり/\つれてゆきて、旅行の趣味を知らしめ、脚力を養はしめ、十七八歳に至りて、始めて獨りにて突き放さむとす。余のをり/\子供をつれゆくは、其意實に茲に存す。結果を數年の後に期する也。

今年の夏は、われ鹽原の勝を探りたり。又那須の勝を探りたり。更に又遠く陸奧の十和田湖の勝を探りたり。長子、同遊を乞ふ。許さず。一人にて行けるやうにならば、いつでも旅行せよと云ひきかし、その代りに水泳を學ばしめたり。水泳の出來ることは、旅行家の一資格也。秋に入りて、近郊の遠足を思ひたち、長男と次男とをつれてゆく。

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