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TORENDIA

飛鳥山遠足

本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

戸山の原から雑司ヶ谷、護国寺、王子を経て田端へと至る東京周辺の散策記。射的場に賑わう兵士や雑司ヶ谷の古びた仁王、枯れゆく欅の木々に人生の道理を見出す思索、巣鴨に集う中国人学生たちの様子などを描写する。さらには飛鳥山の緑陰や王子神社の風情を巡り、日暮れの田園風景と日常の営みを細やかに綴る。明治期の東京の諸相と、各地で見聞きした事象に対する独自の感懐を収めた紀行文である。

大町桂月

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🎧 飛鳥山遠足 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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東京第一の射的場なる戸山の原、あちにも、こちにも、銃聲ぱち/\。臥してねらふ兵士、立ちて列をなして射撃にとりかゝらむとする兵士、部下を集めて射撃の講釋をなす士官、午後の暑さをよそに、とり/″\、汗を流して活動し、喇叭の聲やかましく、走る馬に塵たつ中を通りぬけて、ほつと一息す。寺の名は、亮朝院、神佛混淆の痕跡、七面大明神の額に殘れる堂前に、石の仁王あり。左の仁王に榜して、『この石像をたゝくべからず』としるせり。知らぬものは訝かるべく、好奇心を起すべし。右の仁王をたゝけば、こつ/\と石の音し、左の仁王をたゝけば、かんかんと金の音す。これは不思議と、物ずきのもの、つどひ來ては、石にてたゝくに、これでは、仁王の身も、終に破滅すべしと氣づかひて、かくは禁札をたてたるものと見ゆ。去年までは、こんな禁札は無かりきなど、先達ぶりで、説明するもの也。さて、何故に、金の音がするかは、言はぬが、お慰み/\。

雜司ヶ谷の鬼子母神に到る。繁昌は、稻荷の佛化せる威光天に侵されて、子授銀杏、むなしく偉大也。こゝなる石の仁王は、御利益ありと見えて、赤き紙片ひら/\貼りつけられたり。大欅の竝木は、東京に、その類なき奇觀なるが、餓鬼道の亡者には、名物の燒鳥あるべし。

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