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TORENDIA

探檢實記 地中の秘密

本文約3,500字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

明治時代、大森貝塚での発掘調査を試みる探検記。兒島惟謙の邸内という通常は立入困難な聖地での許可を得た著者は、二條公爵や坪井博士らと共に発掘作業に挑む。しかし、期待に反して貴重な発見は容易には現れず、防寒のための焚火を囲む参加者たちとのやり取りや、調査の苦闘が繰り広げられる。本書は、学術的意義を求めて地中に眠る秘密に迫る採集家の姿と、その過程で起こる悲喜こもごもを描く。

江見水蔭

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🎧 探檢實記 地中の秘密 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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──日本貝塚の本家──採集家としての名譽──公爵自ら發掘す──博士の席上採集──

大森の貝塚は、人類學研究者の眼から、最も神聖なる地として尊敬せられて居る。此所が本邦最初に發見せられた石器時代の遺跡であるからだ。

米國のエドワルド、エス、モールス氏が、明治十二年に於て、初めて此所に遺跡を發見し、然うして大發掘を試みられた記事は『理科會粹』の第一帙として、東京大學法理文學部から印行せられてある。(和英兩文にて)『大森介墟古物編』は、實にそれである。

多く人足を使用したのを一人の勞作に直して、一日平均七時間と見ると、方に八十餘日を費した計算である。かゝる大發掘[#ルビの「だいはつくつ」は底本では「だいはうくつ」]を試みてから、非常に此所は有名に成つたが、今は兒島惟謙翁の邸内に編入せられて、迚も普通では發掘する事が出來ずに居た。

其所を發掘し得る機會を得た。千載[#ルビの「せんさい」はママ]の一遇。それに參豫した余は、實に採集家としての名譽此上も無い。

それは斯ういふ縁引からである。水谷幻花氏と同じ社に居る縱横杉村廣太郎氏は、兒島翁とも知り、又令息とも交際られて居るので、談、邸内[#ルビの「ていない」は底本では「ていたい」]の遺跡に亘つた時に、吾社にこれ/\の人が居るといふ事から話が進んで、學術[#ルビの「かくじゆつ」はママ]の爲となら歡んで發掘を承諾[#ルビの「しようたく」はママ]するといふ運びに成つたのである。

水谷氏は非常に兒島家の好意を喜び、一人の以て此聖跡を荒らすべきで無いとして、斯道のオーソリチーたる坪井博士、それから華族人類學會の牛耳を執らるゝ二絛公爵に通知し、余にも其末班に加はるべく交渉されたのだ。

四十一年一月二十一日の午前九時頃、水谷氏と余とは、大森の兒島邸を訪問[#ルビの「ほうもん」はママ]した。然るに翁は、熱海の方へ行つて居られて、不在[#ルビの「ふざん」はママ]。令息が快く出迎へられて、萬事に便誼を與へられ、人足二人さへ呼ばれたのであつた。

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