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TORENDIA

ゲテ魚好き

本文約3,600字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

河豚、イイダコ、ドンコという個性的な魚の生態や釣りについて綴る。著者自身の釣りの経験に基づき、それぞれの魚が持つ食性や性質、そして著者ゆえの愛着を語る。海底で貝を食す河豚釣りの名人芸や、白いものに執着するイイダコの特性、さらには鈍重ながら強い父性愛を持つドンコの生態を紹介する。釣りを通じて触れる魚の習性や、それぞれの土地での釣りの記憶を通し、魚釣りという趣味の醍醐味と人間味溢れる観察眼を描く随筆である。

火野葦平

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🎧 ゲテ魚好き / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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河豚

どんな下手が釣っても、すぐにかかる魚は河豚とドンコである。

河豚が魚の王で、下関がその産地であることは有名だが、別に下関付近でとれるためではない。下関が集散地になっているだけで、河豚は瀬戸内海はもちろん、玄海灘でも、どこの海でもとれる。東京近海にもたくさんいる。ただ、周防灘の姫島付近の河豚が一等味がよく、いわゆる下関河豚の本場となっている。(因に、九州では、河豚をフグと濁らず、フクと澄んで呼ぶ)

私は北九州若松港に生まれて育ったので、小さいときから海には親しんだ。泳ぎも釣りも好きだった。その釣りの初歩のころ、やたらに河豚がかかるのであきれたものである。河豚は水面と海底との中間を泳いでいるし、食い意地が張っているので、エサをつけた糸をたらすとすぐに食いつく。しかし、ほんとうにおいしい河豚は、海底深くいる底河豚だ。河豚は一枚歯で、すごく力が強く貝殻でも食い割ってしまう。したがって、海底での貝の身をエサにしている河豚の味がよくなるわけだが、この河豚を釣るのはそう簡単ではない。ソコブクの一コン釣りといって、名人芸の一つにされている。私もしばしば試みたけれども、十数回のうちで、たった一度しか成功しなかった。

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