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TORENDIA

浮雲

本文約228,500字 ・ 読了時間 約457分

あらすじ(AIが作成しました)

戦争により南方で生活していた幸田ゆき子は、引揚げを経て故国へ戻る。ゆき子は東京で再会を期していた富岡と合流し、互いに孤独や生活の困窮を抱えながら、不安定な日々を過ごす。戦後の混乱した社会の中で、二人は過去の記憶や亡くなった知人への想いを引きずりながらも、行き場のない日常を漂い続ける。本作は、流転する運命に翻弄されながら、あてどなく生きる男女の空虚な生の姿を冷徹な視点で描く。

林芙美子

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理性が万物の根拠でありそして万物が・理性あるならば

若し理性を棄て理性を憎むことが不幸の最大なものであるならば……。

――シェストフ――

一

なるべく、夜更けに着く汽車を選びたいと、三日間の収容所を出ると、わざと、敦賀の町で、一日ぶらぶらしてゐた。六十人余りの女達とは収容所で別れて、税関の倉庫に近い、荒物屋兼お休み処といつた、家をみつけて、そこで独りになつて、ゆき子は、久しぶりに故国の畳に寝転ぶことが出来た。

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