TRENDIA CLASSIC

浮雲

林芙美子

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理性が万物の根拠でありそして万物が・理性あるならば

若し理性を棄て理性を憎むことが不幸の最大なものであるならば……。

――シェストフ――

なるべく、夜更けに着く汽車を選びたいと、三日間の収容所を出ると、わざと、敦賀の町で、一日ぶらぶらしてゐた。六十人余りの女達とは収容所で別れて、税関の倉庫に近い、荒物屋兼お休み処といつた、家をみつけて、そこで独りになつて、ゆき子は、久しぶりに故国の畳に寝転ぶことが出来た。

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