赤い電車
本文約1,300字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
原っぱの中の小さな町に住む電車好きのじゅん一くんは、夕方になると踏切へ通い、踏切番の老人と親しくなる。老人は毎日東京からやってくる赤い電車について教えてくれ、じゅん一くんは電車に憧れを抱くようになる。やがてお父さんから赤い電車のおもちゃを買ってもらったじゅん一くんは、それを老人に見せようと再び踏切へと向かうが、そこには老人の姿はなく、赤い電車も二度と現れることはなかった。少年の純粋な憧れと喪失を描く。
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東京の街から出てゐる二本のレールは原つぱをつききつて青い空の下を、ずつとあちらまでつゞいてゐます。そのレールの上を青電車がシンシンと音をたてて走りました。
じゆん一くんのお家は、その原つぱのまん中にある小さな町にありました。
じゆん一君は電車がすきでした。
町の踏切りにはをぢいさんが電車の通るたびにしやだんきを擧げたり、降したりしました。をぢいさんが手に持つてゐる青い旗は、すつかり色がなくなつてゐて、風にひたひたゆすられました。
じゆん一君は、まい日、夕方になると、ひとりで、そこの踏切りまでゆきました。踏切の近くの木柵に凭りかかつて、電車の通るのを待ちました。お父さんが、東京のお役所へお仕事に行つて居られるのです。
踏切り番のをぢいさんとじゆん一君は仲良しになりました。
をぢいさんは、にこにこしながら、もうすぐ赤い電車が通るのだよと教へてくれました。間もなく東京の方から、シンシンと音をたてながら電車が走つてきました。それはをぢいさんの言つたとほり塗りたての眞赤な電車でした。電車には運轉手が、ひとり、乘つてゐるきりで、停車場にはとまらないで、夕燒け空の下を、きらきら光りながら、原つぱの中を走つて行きました。そしておもちやのやうに小さくなつて、たうとう見えなくなつてしまひました。
「あの電車はどこへ行くの」
とじゆん一君はをぢいさんにたづねました。
「あれはね。ずつとあちらにある町に買はれて行くのだよ。あちらの町が廣くなつて、電車がつくやうになつたのでね」
とをぢいさんは教へてくれました。
「明日ね、又、いまころ、こゝを通るのだよ。別の赤い電車がね。見にいらつしやい。」
とをぢいさんはにつこりして言ひました。
その次の日、夕方、じゆん一君は、又、踏切りに行きました。
をぢいさんの言つたとほり、眞赤な電車は運轉手一人をのせたきりで、シンシンと音をたてゝ走つてきました。そして停車場にはとまらないで、あちらの町の方へだん/\小さくなつて走つてゆきました。
「あれはね。昨日の赤い電車と同じ工場で出來たのだよ」
とをぢいさんは言ひました。
「ぢや兄弟だね」