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TORENDIA

全体の一人

本文約480字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

独房に一人で収監されたプロレタリアートである「おれ」が、自身の存在意義と思索の出発点を綴る。己の肉体と精神が数万人の祖先の血肉と知識の集積であると定義し、自身が歴史の連鎖における全体の一部であると捉える。その上で、目前に立ちはだかる冷徹なコンクリートの壁を直視し、極めて現実的な対立構造の中にある個人として、いかに生きるべきかを問いかけ、獄中から外の世界に向けた思索の全容を記述する。

陀田勘助

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🎧 全体の一人 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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独房の中にたった独りでいるおれは決して孤立したものでない 全体の中の部分だ! おれはどこから生れてき、また何を背負っているか! 両親のまた両親とおれの系統をたどってゆくとき、 おれの前には数万人の祖先が立っている 独房の中にいるたった独りのおれの身体は数万人の祖先の血と肉で組織されているのだ そして、物質の組織――神経系統に花咲いた精神も、それゆえに数万人の――いやもっともっと多数の知識の集積と結論できよう! たったひとりのおれでさえ永いながいそして複雑な歴史の結果であり将来の原因となり得るのだ たったひとり独房の中で考えているおれでも 全体の中の部分だ! だがこの推理は至って抽象的で、おれのすべての現実でないのだ! おれは投獄されたプロレタリアートの一人だ! ここからあらゆる思索を出発させなければならない おれの前に確乎として峙立つコンクリートの壁! ここからあらゆる思索を出発させなければならない おれの前に確乎として峙立つコンクリートの壁! このかなたにある 複雑きわまる対立をもつ全体の中の部分だ! (獄中から松田解子宛書簡一九三一年三月十九日付 『陀田勘助詩集』を底本)

完

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