恋と十手と巾着切
本文約11,600字 ・ 読了時間 約24分
あらすじ(AIが作成しました)
江戸で名うての巾着切である跡見ず三次と、御用聞のてっきり鉄五郎は、仇敵同士ながら親しい仲にある。ある日、茶屋の娘お絹に恋心を抱く三次は、自身のようなやくざ者と堅気のお絹との身分の差に悩む。一方、お絹は三次への想いから、鉄五郎の腰の十手を密かに盗み出すという大胆な行動に出る。二人は同じ道を歩む決意を固め、自分たちの関係を縁結びの神様と称して歩き出す。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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恋と十手と巾着切 新興映画 (サイレント)
原作並脚色 阿古三之助
(山中貞雄)
監督 広瀬五郎
撮影 三木 稔
キャスト
巾着切跡見ず三次 河津清三郎
御用聞てっきり鉄五郎 片桐恒男
茶屋娘 お絹 望月礼子
弟 勝坊 鈴木勝彦
浪人 鵜飼吾郎 吉頂寺光
(鵜飼三四郎)
相良伝兵衛実は棚倉伝八 東良之助
(相良伝右衛門実は棚倉伝八郎)
[#改ページ]
T「てっきり彼奴と睨んだ眼に狂いのあった試しがない」(O・Lして) T「御用聞の鉄五郎、人呼んでてっきり鉄」
S=町角(朝まだき) 御用聞のてっきり鉄、朝の散歩でブラブラやって来て、カメラの前で、立止って声をかける。 T「三次、三次じゃ無えか?」 呼ばれて振り返った巾着切跡見ず三次。 二人は仇敵同士だが兄弟の様に仲がいいのである。 鉄五郎は三次に、 T「近頃決って朝早く出て行くが」 と言って、ウサン臭そうに、 T「毎朝毎朝一体何処へ行くんだい?」 と訊かれて三次澄ました顔で、 T「向う横丁のお稲荷様へ朝詣り……」 「えッ!」と鉄五郎呆れて「お前が?」と言う。 三次が、「旦那 T「神信心って奴もやって見るとまんざら悪かァ御座んせんね」 と言って「急ぎやすから御免なせえ」と其の儘スタスタと去る。見送った鉄五郎、変に思ったが、其の儘三次とは反対の方向へ去る。
S=附近 鉄五郎やって来て立ち止った。 「待てよ」と考える。 T「てっきり彼奴」 と独り言、 T「朝ッぱらから一稼ぎしてやがるかも知れ無えぞ」 其辺で鉄五郎クルッと踵を反して走り去る。
S=稲荷神社境内 (茶店は腰掛茶屋である。つまり日中だけの営業で、日が暮れたら店を片付けて住居に帰る) 三次の奴が境内の茶店に腰をかけて嫌に嬉し相にしている。 茶店の娘のお絹が朝早いので、お客がない鬱晴らしに三次と世間話をしている。