なりひら小僧 東亜時代映画 (サイレント)
原作並脚色 山中貞雄
監督 仁科熊彦
撮影 藤井春美
キャスト
なりひら小僧 嵐寛寿郎
さんぴん山左衛門 市川寿三郎
二ツ目左膳 頭山桂之助
おさらばお小夜 原 駒子
ましらの半次 阪東太郎
ふんぞり七兵衛 尾上紋弥
大月玄蕃 東正次郎
居酒屋の亭主 嵐橘右衛門
娘お静 歌川絹枝
落合主水之正 矢部伊之助
一子三十郎 前田邦彦
岩瀬平馬 嵐寿三郎
妹浜路 小島一代
大和屋吉兵衛 岡本正男
(但馬屋源兵衛)
金貸し利兵衛 今成平九郎
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T「先ず此処に」――
○=ある刀屋の店先―― 大きな店だ。 T「強欲非道の男がある」 店先で子供が縄飛びして居る。 帰って来た刀屋の主人徳兵衛が子供を叱りとばす。
T「すると其処へ……」 さんぴん山左衛門が実に情けなさそうな恰好で現れて刀屋の店へ入る。
○=内部 徳兵衛、番頭手代に当り散らして居る。其処へ山左が入って来た。 徳兵衛、御世辞を言い乍ら「何御用で御座います?」 山左がしおれて腰の刀を抜いて出す。 T「さんぴん山左衛門が祖先伝来の此の名刀」 とほろりとした。受けとった徳兵衛中味を調べる。如何で御座ると山左。 徳兵衛が刀を収めて、 T「先ず二両」 山左が驚いて、 T「捨て売りにしても五十両は」 徳兵衛、 T「この不景気に御冗談を」 と言われて山左が、 T「では三十両」 徳兵衛、あきまへん。 T「二両より出せません」 山左が涙を呑んで、 T「せめて十両」 あかんあかんと徳兵衛ソッポ向く。山左がっかりして、 T「致し方御座らん」
○=表 山左二両持ってトボトボと出て行きました。入れ違いに今度は二ツ目左膳と、おさらばお小夜御免と内へ入る。お小夜一寸おくれて表で待って居たがそっと中を覗く。