武蔵旅日記
本文約11,900字 ・ 読了時間 約24分
あらすじ(AIが作成しました)
各地の剣術道場を巡っては名を騙り、金銭を巻き上げる浪人・早水団九郎。ある宿で本物の宮本武蔵と遭遇した団九郎は、そのまま武蔵を自らの従者に見立てて旅を続けることになる。世間から最強の剣豪として注目される武蔵と、その偽者である団九郎が、各地で巻き起こる騒動や刺客との乱闘に立ち向かいながら歩む旅の道中を描く。物語は、やがて豊前小倉の島での佐々木巌流との対決へと繋がっていく。
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T 芸州広島 弥生ヶ岡の 花時雨
S=弥生ヶ岡 花が散る、花が散る。 群集がワーと喚声を挙げた。 大声に、 T「喜平次の 馬鹿野郎! 斬られて了え!」(少し大きな字) 有馬喜平次を先頭に紫羽織十五人組が抜刀でじりじり迫る。 群集、 T「宮本先生 其奴を 叩ッ斬って下され!」(文字少し大きく) 宮本武蔵、両刀を抜いて毅然と立つ。 群集が又、 T「喜平次は 鬼だ!」(少し大きく) と言って、 T「此の町の毒虫だ!」(少し大きく) 紫羽織の一人、怒って武蔵に斬って掛かる。 一足退いて武蔵、其奴を叩ッ斬る。 ワーと挙がる喚声。 乱闘、派手な奴。 群衆の喚声。 武蔵の大奮戦。 遂に喜平次、叩ッ斬る。 ワーと挙がる見物の喚声。(F・O)
S=大川 乗合舟。 大勢の乗客の中に旅の商人が一人、 (薬売の様な風体) それが、話し手である。 T「その宮本先生の 強い事、強い事」 と言って、 T「先づ 日本一で 御座んしょうね」 と言った。 感心する乗合の客。 舟端で聞くとも無しに此の話を聞いて居た、女賊白狐のおしまが、そッと微笑んだ。 そして、独り言、 T「そんな強い先生に 一度、遭って 見たい」 と言った。 川の流れ。(F・O) T 兎も角 当時、宮本武蔵の名は 津々浦々に響き渡っていた
S=道場の表 念流剣道指南、森脇左十郎の門外である。 今しも、その表に立ち止った一人の武者修業の侍(早水団九郎) のこのこ門内へ入る。
S=玄関で 団九郎が取次の侍に向って大声挙げて叫んだ。 T「拙者、天下の浪人 宮本武蔵政名と 申す者」 「ソーラ来た」と取次の侍早顔色が無い。 団九郎、尚も大声に、 T「先生に一本 御手合せ 願い度く」 取次の侍「暫時御待ちの程を」と言って、 泡喰って、奥へ注進する。 してやったりと団九郎、ほくそ笑んだ。 (F・O)