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TORENDIA

螽※[#「虫+斯」、第3水準1-91-65]の記

本文約3,600字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

信州軽井沢の叢に生息するきりぎりすの生態を綴る。夜更けに百回以上も鳴き続ける精悍な姿や、草葉の宮殿で他の昆虫と共生する様子、そして秋の深まりとともに衰えていく一生を観察する。同種族での共食いという気性の荒さや、餌を食べる際の独特な仕草など、著者の詳細な観察眼を通してその魅力を詳述する。また、古今の俳句におけるきりぎりすの描写を考察し、芭蕉の句の解釈を通じて本来の姿を浮き彫りにする。

室生犀星

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🎧 螽※[#「虫+斯」、第3水準1-91-65]の記 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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きりぎりすは夜明けの四時になると鳴き止む。部屋のなかに籠を置いて雨戸を閉めてあっても、四時になるとぱったり静かになる。なぜかというと、四時には明け方の微かな明りが漂いはじめるからだ。それがきりぎりすには判るらしい。夕方から鳴きはじめるが、夜更けの一時から二時の間にしききりなしに鳴く。息をつかずに僕のかぞえた数では、百十一遍続けさまに鳴いていた。つまり、きりきりきりという口調をくりかえすのである。しかし僕のいうのは昼間鳴くきりぎりすではない。だから信州では夜なくのを「きす」といい、昼間なくのを「本ぎす」といっていた。

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