知らずや肝の美味
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あらすじ(AIが作成しました)
魚類の肝の味わいについて綴る。作者は、鯛や鱧、皮剥、鮟鱇など多岐にわたる魚の肝を比較し、それぞれが持つ風味や特徴を論じる。特に鱧の肝を筆頭に評価する一方で、獣の肝や一部の鳥の肝には否定的な見解を示す。また、鰻の肝吸いの正体やすっぽんの肝の意外な味わいについても言及する。さらに、猛毒ゆえに扱いの難しい河豚の肝について、その美味さを活かすための適切な食し方を考察し、食材としての価値や調理法の是非を独自の視点で解説する。
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魚類の肝にはなかなか美味いのがある。鳥の肝にもあるにはあるが、さかなの肝の美味さには遠く及ばない。獣の肝には、これは美味いと感じたことがない。さかなの肝で特に美味いのは、たい、はも、かわはぎ、ふぐ、あんこう、うなぎ、たら。鳥では、フランスのフォアグラ(鵞鳥の肝)が有名で、私も瓶詰を知っているが、事実全く美味い。日本の鳥の肝には、とりわけ美味いというほどのものはないようだ。まずまず鶏の肝が第一番という所であろう。魚の肝の中でのピカ一の優品は、はものそれで、次が、たい、かわはぎというところであろう。ふぐの肝も美味いには美味いが、ふぐの身のように別段魅力のあるものではない。あんこう、たらなどの肝は下手物味で、風上に立つ上品さ、すなわち品を欠く憾みがある。
うなぎの肝吸いものというのは、相当しゃれた下手吸いもののひとつに加わっているが、これは単に肝のみを利用しているのではない。苦肝を去った臓物全部を仮りに肝と称して使っているのである。単に肝だけとしたら、取立てていうほどのものではなかろう。すっぽんの肝というのが、なんだか想像の上では、美味そうに考えられるのであるが、これはまたどうしたものか、とんと美味くないものである。それでも京の大市では、その肝を丁寧になべの中に添えて出すところから、その都度、美味かろう美味かろうで、よもやにひかされて食ってはみるが、何度食ってみても一向美味いものではない。
さかなの中で魚体も美味い、臓物全部いずれも美味い、腹子がまた格別美味いというのは、はもだけである。かわはぎの魚体は、さまで美味いとは言い難いが、しかし、その肝に至っては並々ならぬ特別の美味さを有っている。これあってこそ、このさかなが価値づけられているわけである。しかるに、その肝が捨てられるとあっては、笑止千万である。