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TORENDIA

石工

本文約550字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

石工アブラハム・クップフェルは、高く組み上げた足場の上で歌いながら、大鐘の銘文を読み、眼下の市や御堂、石鬼の樋嘴を眺める。視界には星形の堡壘や中庭を持つ僧院のほか、郊外に宿営する皇帝の軍隊の姿が入る。太鼓を調べる騎兵や火縄銃で射的を楽しむ兵隊の様子を捉えつつ、夜の帳が下りる中、十字架形にそびえる伽藍の上から、軍兵たちが焼き討ちにした村の焔が夜空を焦がす遠景を見つめる様子を描く。

ルイ・ベルトラン Louis Bertrand

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🎧 石工 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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石工の長曰く、見よ、この稜堡を、この支柱を。

末代までの固と人はいふらむ。

シルレル「ルヘルム・テル」

石工アブラハム・クップフェルは鏝を片手に足場の上で歌つてゐる。隨分高く登つたものだ。大鐘の銘の文句を讀んでると、飛迫控の三十もあるこの御堂、御堂の三十もあるこの市と、同じ高さに足が來てゐる。

ここに見る石鬼の樋嘴は石葺屋根の水を吐き出して、臺に、窓に、隅折上に、鐘樓に、櫓に、軒に、足場に、この入り雜つた深穴へ落すのだ。そこに鼠色の一點と見えるのは、廣げた儘のぎざぎざした兄鷹の鷹の羽。

眼の下には、星形に切り開いた堡壘、菓子の身の雌鷄よろしくふん反り返つた城砦、噴水の涸れてゆく御殿の中庭、陰は常に柱を心に移動する僧院の廊。

皇帝の軍隊が郊外に宿營してゐる。あすこに一人の騎兵が太鼓を調べてゐる。アブラハム・クップフェルの處からも、あの三角帽、赤絲肩章、前立、色布で結いた辮髮の見別がつく。

また其上に一群の兵隊が眼に入ひる。逞ましい枝振の羽根飾をした遊苑に、深緑の廣々した芝生の上で、竿の端に置いた木製の鳥を覘つて火繩銃の射的をしてゐる。

さてその夜ここの伽藍の釣合のよく取れた本陣が、十字架形に腕を廣げて眠るとき、梯子の上から、はるかに遠くを望めば、軍兵たちが燒打にした一村の焔が夜天に尾を曳く彗星のやうだ。

完

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