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TORENDIA

一僧

本文約380字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

我を捨て去った一人の僧への羨望と、自分もまた時に我を離れる術を悟っていると静かに語る、ツルゲーネフの散文詩「一僧」。

トゥルゲニエフ Ivan Tourguenieff

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🎧 一僧 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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わが知己に一人の僧ありき――世を遁れ、行ひすましぬ。ひたぶるに、祈祷を淨樂として、一念これに醉ひぐれたれば、精舍のつめたき床にたちても、膝より下の、ふくだみて、全身、石柱をあざむくに至るまで、ひるまざりき。すべてのおぼえ、うせぬるまでも、そこに佇みて祈り念じぬ。

この人の心、われよく識りぬ。こゝろ妬たくさへおもほゆ。彼また吾を解したれば、おのれが悦にえとゞかねばとて、卑しみ果つることつゆなかりき。

この人は、憎むべき『我』をほろぼしつ。しかはあれど、吾の祈りえざるは、あながちに、唯我のたかぶりあるのみにあらじよ。

わがもてる『我』は、この人のもてる『我』よりも、更に重くして、更に憎々しかるなり。

おのれを忘ずる術、かれ、既にみいだしぬ。われもまた、いつも/\といふにあらねど、『我』を脱離する法を悟れり。

彼は、矯飾の徒にあらず、われまたさにあらじかし。

完

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