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TORENDIA

ひよりげた

本文約2,000字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

浄福院の裏の藪に住む母たぬきは、子たぬきに化ける術を教えようと試みる。お月様に化けたいと願う子に対し、それはできないと諭しながら、母は住職の姿に化けてみせる。しかし、まだ幼い子たぬきは、目の前の正体不明な人物を前に戸惑い、母を求める。母は子に化ける技術を熱心に指導するが、身体の一部がどうしても隠しきれない。なかなか上達しない様子に母が困り果てる中、子たぬきは眠気を訴え始める。

新美南吉

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🎧 ひよりげた / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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あめが はれました。ジョウフクインの うらの やぶの なかに、やぶっかが わんわん なきました。月が でると ぬれた たけの はが ひかりました。

ジョウフクインの うらの やぶの なかに たぬきが すんで いました。このあいだ うまれて まだ おちちに ばっかり くっついて いる こどもの たぬきと いっしょに、えにしだの 木の ねもとの あなの なかに すんで いました。

おかあさんだぬきは こんや こどもの たぬきに、ばける ことを おしえようと おもって、あなの そとへ でて きました。えにしだの はなが、さっきの あめで おとされて そのへんに ちらかって いるのが、月あかりで みえました。

「さあ ぼうや、もう おちちから はなれなさいよ。」

こどもの たぬきは それでも おちちを すって いました。

「さあ さあ。」

おかあさんが、こどもの たぬきの おなかに 手を かけて、はなさせようと しても、こどもの たぬきの 口は おちちに ついて いました。

「いいかい ぼうや。」

「なあに。」

「ぼうや、なんに ばけたい。」

「お月さんに ばけたいの。そして おそらから みて いたいの。」

「ぼうや、おばかさんね。お月さんなんかには ばけられませんよ。」

ぼうやの たぬきは こまったような かおを しました。

「いや いや、お月さんで なけりゃ、いや。」

おかあさんだぬきは ぼうやの たぬきを だきあげて、

「こわいんだよ お月さんは。お月さんに ばけたりするとね、ほんとうの お月さんが おこって ばちを あてるのよ。それではね、かあちゃんが いま おもしろいものに ばけて あげるから まって おいでよ。」

おかあさんだぬきは、こどもの たぬきを したに、おろしました。

「さあ ぼうや。おめめを つむって いなさいよ。かあちゃんが もう いいよって いうまで。」

ぼうやの たぬきは、いわれたとおり、目を とじたけれど、りょう手で しっかり かあちゃんの 手を とらまえて いました。

「ぼうや、だめよ。かあちゃんの 手を はなさなくっては。」

「だって、かあちゃん いなくなるもの。」

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