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TORENDIA

あとがき

本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

新美南吉が初めて世に送る童話集への思いと、創作の背景を綴る。久助や兵太郎ら自身の心の中から生まれた少年たちの物語を収めるにあたり、独自の創作であることへの不安や、言葉遣いへの配慮を述べる。大人の小説の練習を経て執筆されたため、一部難解な表現が含まれることを自覚しつつも、少年たちの心情や行動は理解しやすく、読後に何らかの印象を残す内容であることを強調する。出版に協力した恩師や友人、画家への感謝の念も示す。

新美南吉

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🎧 あとがき / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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はじめて世に出る童話集なので、心のなかでひやひやしてゐます。昨年、良寛さんの伝記物語「手毬と鉢の子」を出すときにも、それは私がはじめて書いた本なので、ひやひやしました。しかし、こんどはまたこんどで、別な不安があります。

前の本は伝記物語でした。つまり、良寛さんといふりつぱなお坊さんがじつさいにゐて、その人の書き残したものや、その人について書かれたものもいろいろあつて、私はそれらのものを土台にして書けばよかつたのです。いひかへると、前の本は、良寛さんと私とのふれあひから生まれたのでした。

ところが、この童話集は、まつたく私一人の心から生まれたものです。久助君、兵太郎君、徳一君、大作君達は、みんな私の心の中の世界に生きてゐるので、私の村にだつてそんな少年達がじつさいにゐるのではありません。さういふわけで、これは純粋な私の創作集ですから、もし少年諸君が、これらの物語を読んでちつとも面白く思はないならば、それはすつかり私のおちどになつてしまふのです。

君達が面白いと思つてくれるかくれないか――それがいちばん心配です。わけても、私の使つた言葉のことが気にかゝります。ほかのやさしい童話ばかり読んでゐた子には、この本の言葉は、きつと少しむつかしく思へるだらうと思ひます。なるべくやさしい言葉をつかつて、君達によくわかるやうに書いたつもりですが、私はこれらの童話を書くまへ、しばらく大人の小説を書く練習をしてゐたため、どうかすると大人の言葉が、童話の方にもでてしまつたのです。

言葉は少々君達にむつかしいのがあるかも知れませんが、書いてあることがらは――少年達の気持にしても、少年達のすることにしても、君達によくわかり、面白いはずだと、私は自分できめてゐます。

ですから、読み出して、むつかしいなと思つても、おつぽり出さないで、お母さんか姉さんか兄さんに読んで戴いてなりとも、ともかく終まで話をきいて下さい。

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