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TORENDIA

春水と三馬

本文約4,000字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

為永春水の『絵入教訓近道』と式亭三馬の蔵書印のある『赤本智恵鑒』を題材に、著者が自身の蔵書を通じた歴史的・文学的興味を綴る。前者はイソップ物語を日本風に翻案し動物を人間に見立てた挿絵を配した教訓書であり、後者は赤本を愛読する猿蟹上人が赤本を教材に世俗の人々に説教を試みる滑稽な教訓談である。著者は両書の歴史的背景や教訓としての特色を論じ、大衆文学における翻案や形式の面白さを紹介する。

桑木厳翼

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🎧 春水と三馬 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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斯様な標題を掲げたが、何もこんな陳腐な題目で柄にもない文学論を試みようとするのではない。「図書」という雑誌の性質に鑑み、此二人に関係ある書物に就て閑談を弄したいと思うのである。

私の家に子供の折から見慣れて居た二つの草双紙絵本がある。一は為永春水の『絵入教訓近道』で、一は式亭蔵書印のある『赤本智恵鑒』である。何時何処で父が購求したのか、つい聞洩して仕舞ったが、或は祖父の江戸土産を後年父が出京の際郷里から携えて来たのか、とにかく私の物心ついた時から常に見慣れたもので、私に取っては種々想出の料となるものである。前者がイソップの換骨奪胎であることは明白であり、然も其が春水の作という所に興味があるし、後者は名家の手沢本として私の貧弱な書斎を飾るものと思って居た。然し三馬の蔵書はざらに世間にあるということだし、春水の翻案はイソップ研究に何の値もないものであるから、何れもただ私一人だけの感興を喚起すだけであるが、其後春水翻案の方は専門家の側にも珍重せられて来たので、此機会に三馬と道連れにして雑誌の埋草に使用する。

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