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TORENDIA

沈黙

本文約3,000字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

リビアの荒涼たるザイーレ河のほとりで、鬼神が語る奇妙な物語を綴る。沼地にそびえる岩の上には、悲哀と孤独を抱えた一人の男が座り続けている。鬼神は、男の動揺を誘おうと河馬の咆哮や恐ろしい嵐を巻き起こすが、男は動じない。最後に「沈黙」の呪詛をかけ、周囲の全てを静寂に閉ざした時、男は恐怖に震えながらその場を逃げ去る。この不可思議な体験を、語り手である人物が墓場の鬼神から聞いたものとして記録する。

エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe

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🎧 沈黙 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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山嶺は眠り、谿谷、巉岩、洞窟は沈黙す アルクマン1

「おれの言うことを聴け」と鬼神はその手を予の頭にかけて言った。「おれの話すのはザイーレ河2のほとり、リビア3の荒涼たる地域のことだ。そこには平穏もなければ、沈黙もない。

河の水はサフラン色の病んだ色をしている。そして海の方へ流れずに、永久に永久に太陽の赤い眼の下で騒々しく痙攣するように波うっている。どろどろした河床の両側には幾マイルとなく、巨大な睡蓮の蒼白い荒野がある。睡蓮はその淋しいところで互いに溜息をつきあい、長いものすごい頸を天の方へのばし、永劫の頭をあちこちとうなずかせている。そして地下を走る水のようにがやがやした囁きがその間から聞えてくる。彼らは互いに溜息をつきあうのだ。

しかし睡蓮の領域には境界がある、――暗い、恐ろしい、高い森の境界だ。そこでは、ヘブリディーズ4あたりの波のように、低い下生が絶えずざわめいている。しかし天には少しの風もない。そして太古からの高い樹々は強い轟音をたてて永遠に彼方此方へ揺れている。その高い梢からは一滴一滴と絶え間なく露が滴り落ちる。またその根もとには毒ある奇異な花が安からぬ眠りに悶えながら横たわっている。そして頭上には灰色の雲が颯々たる高い音をたてて、永久に西の方へと走り、ついには地平線の燃ゆる壁から瀑布となって逆巻き落ちる。しかし天には少しの風もない。そしてザイーレ河の岸辺には平穏もなければ沈黙もない。

夜のことで、雨が降っていた。降っている時には雨であったが、降ってしまうと血であった。おれは沼の中で、高い睡蓮の間に立っていた。雨はおれの頭上に落ちた。――そして睡蓮はその荒廃寂寥の森厳の中で互いに溜息をつきあっていた。

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