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TORENDIA

三両清兵衛と名馬朝月

本文約8,000字 ・ 読了時間 約17分

あらすじ(AIが作成しました)

貧しく身分の低い武士の川音清兵衛は、朝鮮征伐への出陣に備え、三両で痩せ馬の朝月を買い取る。清兵衛は食費を削り朝月に大豆や大麦を与えて大切に育てる。のちに朝月は駿馬となり、蔚山城籠城戦において明軍の夜襲を事前に察知して清兵衛を助ける。さらに飢えの中で主人と離れず、敵の豪将を討ち取る功績にも貢献した朝月は、清兵衛の深い愛情に応え、戦功帳に名を記されるほどの稀代の名馬として評価される。

安藤盛

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三両のやせ馬

「馬がほしい、馬がほしい、武士が戦場で、功名するのはただ馬だ。馬ひとつにある。ああ馬がほしい」

川音清兵衛はねごとのように、馬がほしいといいつづけたが、身分は低く、年は若く、それに父の残した借金のために、ひどく貧乏だったので、馬を買うことは、思いもおよばなかった。清兵衛は、毛利輝元の重臣宍戸備前守の家来である。

かれはなぜそんなに馬をほしがったか。それというのは、豊臣秀吉がここ二、三年のうちに、朝鮮征伐を実行するらしかったので、もしそうなると、清兵衛もむろん毛利輝元について出陣せねばならぬ。そのとき、テクテク徒歩で戦場をかけめぐることは、武士たるものの名誉にかかわる、まことに不面目な話だからである。そこで、ひどい工面をして、やっと三両の金をこしらえた清兵衛は、いそいそと、領内の牧場へ馬を買いに出かけた。二、三日たって、かれがひいてかえったのは、まるで、生まれてから一度も物を食ったことがないのかと思うような、ひどいやせ馬だった。

清兵衛は、うれしくてたまらない様子で、これに朝月という名をつけ、もとより、うまやなどなかったので、かたむいた家の玄関に、屋根をさしかけて、そこをこの朝月の小屋にした。友人たちは、骨と皮ばかりの馬を、清兵衛が買ってきたのでおどろいた。

「これは、朝月でなくて、やせ月だ」

そして、

「清兵衛、この名馬はどこで手に入れた」と、からかい半分にきいたりしようものなら、

「ほう、おぬしにもこれが名馬だとわかるか」

清兵衛は得意になって、朝月を見つけた話をきかせたうえ、

「これが三両で手にはいったのだ、たった三両だよ」とつけくわえる。

その様子があまりまじめなので、あきれかえった友だちは、しまいには、ひやかすのをやめたが、いつしか三両でやせ馬を買ったというところから「三両清兵衛」のあだなをつけられてしまった。

清兵衛は、そんなことにはすこしもかまわず、自分は食うものも、食わないようにして、馬にだけ大豆や、大麦などのごちそうを食わせた。朝月は主人清兵衛の心がよくわかったとみえ、そのいうことをききわけた。そして、しだいに肥え太ってきた。このことが、宍戸備前守の耳に入ると、

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