TRENDIA CLASSIC

余はベンメイす

坂口安吾

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先日朝日評論のO氏現れ、開口一番、舟橋聖一のところには日に三人の暴力団が参上する由だが、こちらはどうですか、と言う。こちらはそんなものが来たことがない。来る筈もないではありませんか。

東京新聞のY先生(なぜなら彼は僕の碁の師匠だから)が現れての話でも、世間ではもっぱら情痴作家と云ってますが、御感想いかが、と言う。すると、それから、西海と東海と東京と三つの雑誌と新聞から同じようなことを言ってきて、私の立場に就いて、弁明しろと言う。弁明など考えたこともないから、しろと云っても、無理だ。

朝日評論のO氏も弁明を書けという。まるでどうも、私が東京裁判情痴部というようなところへ引きだされて目下訊問を受けているようにきめこんでいる様子で、私も恐縮したが、まったく馬鹿げた話である。

こうきめつけられては、てれてニヤニヤする以外に手がなくなって、そうかね、私は情痴作家ですか、などと云うと、知友の筈のY先生まで、舟橋・織田も情痴作家とよばれることを厭がりますね、などと取りすましている。とりつく島がない。

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