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TORENDIA

星より來れる者

本文約18,800字 ・ 読了時間 約38分

あらすじ(AIが作成しました)

詩人としての自己の心象や詩作におけるリズムの捉え方を序文で綴る本作は、田端の庭の情景や街角での出会い、日常の断片を詩情豊かに描き出す。独り立ち上がる虻の力強い鼓動や、乳を求めて雨のなかを歩む日々、あるいは日常に紛れ込むふしぎな光景を収める。詩集として編まれたこれらの一編一編は、作者が折々に感じた親密な記憶や子供のような観念、そして周囲に漂う孤独や哀歓を静かにすくい上げている。

室生犀星

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「星より來れる者」序

このごろ詩はぽつりぽつりとしかできない。一時のやうに、さうたやすく書けなくなつたかはり、書くときはすらりと出てくる。それが詩の本統かもしれない。詩を書き出して十年になるが、やはり古くかいたことを時時かき換へてゐるにすぎない氣がする。併し一方からいへば、一つのものをかいても、本統に別な氣持でかいてゐることを考へると、形式でなく、輪廓でもない、心核から、しつかりと自分をかいてゐる氣もする。

さういふわけで、私は特に作らうとするより、考へようとするより、れいの、すらりと書いてゐる。それすら極めて稀にしかできないのだから、私として珍らしい詩集かもしれない。詩などといふものは、甚だしく轉換るものでなく、一とところに目ざめてゐる心は、やはり、むかしのやうに一とところに寂然として沈んでゐるわけのものである。それゆゑ、變化つたとか變化らないとかいふことは、眞實そのものでなく、たんに形式や輪廓、もしくは詩行の配列などから言はれることが多いのである。

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