TRENDIA CLASSIC
途中で
中野鈴子
1 / 1
わたしは途中で一人の女とすれちがった
女のかおは白粉と紅で白く赤く美しかった
背が高くふっくら円かった
年は二十三四
そして藤色チリメンの長袖
厚いフェルト草履の大股でトットッと歩いて行った
それは大変に自慢そうで
からだ全体が得意で一ぱいのようだった
わたしは洗いざらしの浴衣を着て
青じけた顔をうつむけて通りすぎた
わたしは顔をうつむけて通りすぎた
そうしてわたしは振りかえった
振りかえった時
わたしの胸はわくわくとこみ上げた
いくらでも威張りなさい
いくらでもおけつを振りなさい
あなたがそうしてじゃらじゃらしている間に
わたしたちが何をしようとしているか
何処に向かって着々としているか
高慢ちきな娘よ
この陽に焼けたゆがんだ顔で
みすぼらしいわたしたちが何をしでかすか
何をしでかすか
振りかえった時
わたしの胸はわくわくとこみ上げた
わたしの胸は色あせた浴衣の中で焼けた
中野鈴子の他の作品
TRENDIA CLASSIC
あつき手を挙ぐ
中野鈴子
あつき手を挙ぐ
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
ある日
中野鈴子
ある日
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
一家
中野鈴子
一家
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
妹
中野鈴子
妹
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
おとろえ 1
中野鈴子
おとろえ 1
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
おとろえ 2
中野鈴子
おとろえ 2
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
お前は此の頃よ
くねむる
中野鈴子
お前は此の頃よくねむる
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
壁と重石と
中野鈴子
壁と重石と
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
歓喜
中野鈴子
歓喜
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
飢餓の中から
中野鈴子
飢餓の中から
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
君すでに
中野鈴子
君すでに
中野鈴子
TRENDIA CLASSIC
許南麒の詩のよ
うに
中野鈴子
許南麒の詩のように
中野鈴子