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TORENDIA

復員

本文約380字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

戦死したことになっていた四郎が南の島から復員するが、家族にも恋人だった女にも厄介者としか扱われない。それでも女の気まずそうな顔に、ほのかな温かみを見出す坂口安吾の掌編。

坂口安吾

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四郎は南の島から復員した。帰つてみると、三年も昔に戦死したことになつてゐるのである。彼は片手と片足がなかつた。

家族が彼をとりまいて珍しがつたのも一日だけで翌日からは厄介者にすぎなかつた。知人も一度は珍しがるが二度目からはうるさがつてしまふ。言ひ交した娘があつた。母に尋ねると厄介者が女話とはといふ顔であつた。すでに嫁入して子供もあるのだ。気持の動揺も鎮つてのち、例によつて一度は珍しがつてくれるだらうと訪ねてみることにした。

女は彼を見ると間の悪い顔をした。折から子供が泣きだしたのでオムツをかへてやりながら「よく生きてゐたわね」と言つた。彼はこんな変な気持で赤ン坊を眺めたことはない。お前が生きて帰らなくとも人間はかうして生れてくるぜと言つてゐるやうに見える。けれども女の間の悪さうな顔で、彼は始めてほのあたゝかいものを受けとめたやうな気がして、満足して帰つてきた。

完

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