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TORENDIA

親は眺めて考えている

本文約14,300字 ・ 読了時間 約29分

あらすじ(AIが作成しました)

南極のペンギンの生態と親子の関係を通じ、著者が自身の家庭生活や子供の教育について綴る随筆。子供への過度な干渉を避け、一人の自立した人間として成長を見守る自身の葛藤や、親としての責任に対する独自の考察を述べる。子供の成長とともに変化する心情や、個性の継承に関する複雑な思いを客観的な視点を交えて記述し、未来への期待とともに子育てにおける自らの姿勢をまとめている。

金森徳次郎

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ペンギンの連想

見はるかす積雪の原である。何か氷山の一部らしい。その広野の中を自然に細長い行列を組んでモーニング姿の者が前進して先方の低い丘陵のかなたに消えて行く、何千という数だろう。黒いモーニングはからだにぴったりあっているがズボンの方は白色だ。澄んだ音楽の行進曲に歩調が揃って行く。これはその実「ペンギン鳥の住みかを訪ねて」と題する南極での実写だ。

今日南極の氷山や雪原の中に沢山の大きなペンギン鳥の集団がある。その生態は大抵の動物学者もよくは知らないが、それをカメラが追求して実写したのである。

およそ生物の中で身のたけ四尺以上あって二本足で立って歩いているものは、人間の外にはペンギン鳥ぐらいだろう。鶴や鷺だってそうかも知れぬが立って歩くという感じにならない。とにかく黒のモーニングの礼装したような風態で、それがチャップリンもどきの足つきである所が面白い。音楽に歩調をあわせて整然と進んで行くのを見ていると「えらいものだ! 音楽がわかる」と口をすべらしそうだ。

ところでこのペンギンは年に一回卵を生み、親がこれを抱いて暖める。しかし親たちは抱きつつ行動しなければならぬ。しかもまた抱くにふさわしい腕も胸も整っていないのだ。羽毛の服の内側のような所に卵を保持して暖めていると適期に裾の所から小さな鳥が出て来て、親に保護されよたよたと歩く。色々な保護方法が集団的にまたは個別的に発達している。本能的とでもいうべきだろう。風雪がおそい来る、外敵がやって来る、傷つくものも仆れるものも出来る。その屍体は怪鳥めいた他動物の餌食になる。つまり親の保護がなければ小動物は生存することが出来ぬのだ。

これが一年も経つと、成鳥になり、親子の関係ははなれて行き、自立する。また異性愛をも発する。かくて永遠の時のひとこまを形成して行くのである。

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