TRENDIA CLASSIC

わが愛する詩人の伝記(三)

室生犀星

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萩原朔太郎の長女の葉子さんが、この頃或る同人雑誌に父朔太郎の思い出という一文を掲載、私はそれを読んで文章の巧みさがよく父朔太郎の手をにぎり締めていること、そして娘というものがいかに父親を油断なく、見守り続けているかに感心した。

葉子さんは三十過ぎだがボンヤリと鳥渡見たところでは、気の善すぎる、だまされやすく騙してみたいような美しさを持っている人だが、この父朔太郎の思い出をくぐり抜けている葉子さんは、なかなかの確かりした人で騙そうとしても引き返さなければならない程の、愉快な手応えを見せていた。

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