本文へ移動
TORENDIA

五十の春に 2

本文約250字 ・ 読了時間 約1分

※本文が短いため「あらすじ」は省略いたします。

中野鈴子

速度
🎧 五十の春に 2 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

いまようやくここまで歩いてきたところだ

誰かが呼んだと思うときもあったが

それは空耳だった

振り返って返事をしているわたしに

呼び止めたと思った人は気のつかぬ如く

とっとっと先の方を歩いて行った

わたしは一人とぼとぼここまでたどりついた

花の咲く頃には却って身を細くして

自動車をよけるような恰好になったものだ

ようやくここまでたどりつき

山道にさしかかったところだ

この山道を入ってゆくと道が分からないようにもなったり

高い崖や 危うい海岸へ出るようなことがあるかも知れない

誰もわたしを呼び止めないように

もう返事をするひまもない

完

中野鈴子の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本