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TORENDIA

安倍さんとタゴール

本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

アメリカのウィネツカに滞在中の安倍能成が、現地の教育関係者宅で夕食を共にする。酒を飲み心地よく居眠りする安倍の姿を見て、かつてタゴールを知る校長がその寝顔の面影をインドの詩人に重ね合わせる様子を描く。また、徹底した個性尊重教育を実践する現地の公立小学校の運営状況や、多額の予算を投じて理想的な教育を追い求めるアメリカの理想主義の一端について綴る。

中谷宇吉郎

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🎧 安倍さんとタゴール / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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先日安倍(能成)さんが見えていたと思ったら、もう今日屆いた『心』の五月號に、安倍さんを圍んでの皆さんの座談會の記事が載っていた。アメリカと日本との距離も、ずいぶん近くなったものである。

安倍さんは、非常に元氣で、方々アメリカを見て歸られたから、御土産話がたくさんあることと思うが、その中に決して出て來ない話を一つ紹介しよう。というのは、安倍さん自身が御存じのないことなのである。一寸變った話で、安倍さんが居眠りをしているうちに、タゴールになったという話である。

少し突飛な話なので、まずこの町のことから説明する必要がある。ここのウィネツカという町は、金持がたくさん住んでいるので、税金の集りがよいと見えて、贅澤な施設がたくさんある。その中でも、教育に妙に力瘤を入れていて、たいへんな設備をもった學校を二つもっている。一つはクロー・アイランドという小學校で、今一つはニュー・トリアという高等學校である。教育方針がひどく變っていて、いわゆる新教育を徹底的にやっている。小學校の方がとくに目立つのであるが、一番の特徴は、個性を重んずるというので、少し大袈裟にいえば、生徒一人一人について、その才能に應じた教育をしようというのである。

うちの末っ子が、このクロー・アイランド小學校へ通っていて、その受持の先生、ミセス・ヘンダースンとは、家庭的にもかなり親しくつき合っている。なかなかの美人で、初等教育の方では、よく知られた人だそうである。先日大英百科映畫會社で、『プラス・マイナス』という、算術を取扱った教育映畫を作るとかいって、わざわざクロー・アイランドのミセス・ヘンダースンの教室と指定して、ロケに來たくらいであるから、相當有名なのであろう。

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