デンマルク国の話
本文約8,900字 ・ 読了時間 約18分
あらすじ(AIが作成しました)
1864年の対独墺戦争に敗れ、領土と国力を喪失したデンマークが、いかにして窮境から立ち直り、世界屈指の富を築いたのか。本書は、その復興を牽引した工兵士官ダルガスの荒地開拓事業と植林への献身を描き、敗戦が必ずしも国の滅亡を意味しないことを説く。国民の精神的修養や信仰の重要性を論じ、国家の真の強さとは何かを考察する。
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曠野と湿潤なき地とは楽しみ、
沙漠は歓びて番紅のごとくに咲かん、
盛に咲きて歓ばん、
喜びかつ歌わん、
レバノンの栄えはこれに与えられん、
カルメルとシャロンの美しきとはこれに授けられん、
彼らはエホバの栄を見ん、
我らの神の美わしきを視ん。
(イザヤ書三五章一―二節)
今日は少しこの世のことについてお話しいたそうと欲います。
デンマークは欧州北部の一小邦であります。その面積は朝鮮と台湾とを除いた日本帝国の十分の一でありまして、わが北海道の半分に当り、九州の一島に当らない国であります。その人口は二百五十万でありまして、日本の二十分の一であります。実に取るに足りないような小国でありますが、しかしこの国について多くの面白い話があります。
今、単に経済上より観察を下しまして、この小国のけっして侮るべからざる国であることがわかります。この国の面積と人口とはとてもわが日本国に及びませんが、しかし富の程度にいたりましてははるかに日本以上であります。その一例を挙げますれば日本国の二十分の一の人口を有するデンマーク国は日本の二分の一の外国貿易をもつのであります。すなわちデンマーク人一人の外国貿易の高は日本人一人の十倍に当るのであります。もってその富の程度がわかります。ある人のいいまするに、デンマーク人はたぶん世界のなかでもっとも富んだる民であるだろうとのことであります。すなわちデンマーク人一人の有する富はドイツ人または英国人または米国人一人の有する富よりも多いのであります。実に驚くべきことではありませんか。