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TORENDIA

ネルソン伝に序す

本文約550字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

ネルソンは英国の理想を最も忠実に体現し、国民の志望に応えることで人類の幸福を増進させた海軍提督である。彼は戦艦や武器の技術面ではなく、軍人の本分を徳義的かつ精神的に指導することで英国海軍的思想を確立した。本書は、陸のウェリントン公と並び『義務』の念を軍人の脳裡に刻み込んだ提督の生涯を綴り、軍国としてのあり方を模索する明治期の読者へ向けてその勲績を紹介する。

内村鑑三

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🎧 ネルソン伝に序す / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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天の命ありて英国始めて、

青海原より立し時、

其特職なればとて、

守護の神はたゝへて曰く、

不烈巓国よ波に覇たれ、

不烈巓人は奴隷ならじ。

是れ英人の理想を謳ひしもの、而して提督ネルソンは最も善く此理想を代表せし人なり、彼はシヱクスピヤの如き宇宙的人物にあらず、彼にクロムウエルの如き深遠なる宗教的観念ありしを見ず、彼は忠実なる英国の子供にして彼の単一の目的は英国の利益と栄光とにありき、偉大なる彼は特別に英国人の専有物なり。

然れども国民の声は神の声なり、国民の理想に循ひしものにして天理に反きしものは甚だ稀なり、能く国民の志望を充たせし人は常に能く人類の幸福を増進せし人なり、ネルソンは英国民の理想に応ひて世界進歩に偉業を呈せり、英国に忠実なりし彼は人類全躰の恩人なり。

然れどもネルソンの勲績は主として英国海軍の発達にあり 而して彼は戦艦の改良、武器の進歩に於て之をなせしにあらずして、軍人の本分を知らしめし事に於て、即ち徳義的に、精神的に、英人の海軍的思想を振ひ起したり、陸にウエリングトン公あり、海に提督ネルソンありて『義務』の念は永久に英国軍人の脳裡に打ち込まれたり。

今や軍国の時に際してネルソン伝は吾人の切望せし所、此書亦た我国人目下の要求に応ぜしものと言はざるべからず。

明治廿七年十一月京都に於て 内村鑑三

完

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