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TORENDIA

半七捕物帳

本文約22,500字 ・ 読了時間 約45分

あらすじ(AIが作成しました)

赤坂の半七老人が、極月十三日の夜に訪ねてきた訪問者へ自らの経験談を語る。江戸の煤掃きの習わしや忠臣蔵の逸話に触れつつ、物語はかつて扱った仇討ちの事件へ至る。ある男が兄と姉の無念を晴らすため、半七の協力を得て敵を討つまでの経緯を、老人が回想という形で描き出す。過去の因縁が複雑に絡み合う事件の真相と、その場に立ち会った者の記憶を紐解いていく構成である。

岡本綺堂

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一

極月の十三日――極月などという言葉はこのごろ流行らないが、この話は極月十三日と大時代に云った方が何だか釣り合いがいいようである。その十三日の午後四時頃に、赤坂の半七老人宅を訪問すると、わたしよりもひと足先に立って、蕎麦屋の出前持ちがもりそばの膳をかついで行く。それが老人宅の裏口へはいったので、悪いところへ来たと私はすこし躊躇した。

今の私ならば、そこらをひと廻りして、いい加減の時刻を見測らって行くのであるが、年の若い者はやはり無遠慮である。一旦は躊躇したものの、思い切って格子をあけると、おなじみの老婢が出て来て、すぐに奥へ通された。

「やあ、いいところへお出でなすった」と、老人は笑いながら云った。「まあ、蕎麦をたべて下さい。なに、婆やの分は追い足しをさせます。まあ、御祝儀に一杯」

「なんの御祝儀ですか」

「煤掃きですよ」

大掃除などの無い時代であるから、歳の暮れの煤掃きは何処でも思い思いであったが、半七老人は極月十三日と決めていると云った。

「わたくしなぞは昔者ですから、新暦になっても煤掃きは十三日、それが江戸以来の習わしでしてね」

「江戸時代の煤掃きは十三日と決まっていたんですか」

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