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TORENDIA

ふるさと

本文約410字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

無言のまま思いを秘めた恋や、椰子の実こぼる南国の真昼の夢想から、屠殺場へ引かれてゆく牛の哀れさまでを連ねる漢那浪笛の連作詩「ふるさと」。

漢那浪笛

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🎧 ふるさと / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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無言

常によく見る女なれど、

心の欲を云ひいでむ、

また、語るべき機会もなく、

胸もどかしく、過ぎゆくか。

実にも二人がその中は、

砕けちりしく花硝子――

夕日の国の寂寥に、

絡みて沈む香の色。

せめては夢にその女と、

微笑つくる嬉れしさを、

ふかき思ひに抱きしめ、

無言の恋をくちづけむかな。

移香

ながき黒髪のその中に、

あやしく匂ふまなざしの、

たゆたひつゝもしなやかに、

見つむる色の、不思議さよ。

花毛氈の草のへに、

彩羽うちふる、楽の譜か、

姿すゞしく、移香の、

やをら心にしみいりて、

愛の泉にゆあみする、

新らしき、吾が酔ひごゝち。

真昼

子守唄、静かにうかび、

平安の木かげの夢を

ゆりさます、真昼のまひる。

吾れは今、椰子の実こぼる

南の、森をしたひて

草にふし、豆の葉とりて、

恋愛の、一つにもゆる

唇に、曲折りかへし、

若かき日の、心うたひぬ。

屠牛

嘯き吼ゆる黄牛よ、

目路にかゞなふ、屠殺場を

知るやしらずや、あな哀れ、

ものおぞましき足どりに、

牧場の草を、いでたちぬ。

完

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