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TORENDIA

かの日の歌【二】

本文約520字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

秋の訪れと散りゆく木の葉の哀調、薔薇色の朝に響く鳥の歌、ユウカリ樹の下で交わした若き日の別れといった情景を詩情豊かに描き出す。極楽鳥の鳴き声が響く夜の森で過去の歌を口ずさみ、遠く異国の植民地で労働に明け暮れる日々の愁いと、ささやかな糧を噛みしめる生活の機微を綴る。自然の移ろいと自身の内面にある悲しみが重なり合う、情緒的な叙事詩である。

漢那浪笛

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🎧 かの日の歌【二】 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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音なき秋の空をながめて、

木の葉は淡き吐息をもらし、

色みな、悲しきメロディなり。

時のまに/\泣きすぐる風に、

調べはいたく、狂ひわなゝき、

自然の胸の痛みは、更に深し。

黄ばめる木の葉は、翼をふるひ、

暗をもりたる、谷をみおろし、

渦まきながら、果ては消えゆく。

こゝちよき南の朝、

空は薔薇色の絹をのべ、

いろ鳥の歌は、若かき恋のごとく、

珠の響きをもてふるへり。

眼ざめし軟風、払手柑の花咲く

泉のほとりに、たわふれば、

かぐわしき名香、四方に散じ、

草葉にむすぶ露も、はら/\と散る。

あわれ、ユウカリ樹の下に、

たをやの髪を手にまきて、

若かき恋の別れを告げし、曙も、

今は、浮刻の如く、空にうつらふ。

なぎたる海の如き小夜なか。

香ひよき酒にさめて、

物すごき森の奥に、

極楽鳥の声をきくとき、

心は新らしき悲しみの眼をひらく。

南極星のなゝめに傾むき、

椰子の葉影にふるゝ頃まで、

色あせし唇に、「かの日の歌」をなせど、

たへなる音もなく、息は糸のごとく衰ろへ、

果敢なき涙して、喜びは吾れをさかりゆく。

涙ぐみたる植民地の空。

あぢきなき労働を終へて、

榕樹の影に息ふ黄昏よ!

息ふかき鐘の音は、愁人の声を偲ばせ、

収穫しさゝやかな穂束をながめて、

………かたパンを食ふに似たる生活を思ふ。

完

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