TORENDIA
かの日の歌【一
】
漢那浪笛
TORENDIA
かの日の歌【一】
本文約420字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
椰子の並木や白き墓の並ぶ植民地の黄昏に、恐ろしい獣の声と歓楽の歌が入り混じる異国情緒を、死への慰めと共に詠む漢那浪笛の詩。
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🎧 かの日の歌【一】 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ
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南の国の黄昏れ、
空は紅き笑ひを残して静かなり。
想思樹の葉のねむたげにうなだれ、
かすかなるうめきをやする。
ああ淋しみ、心をなす、植民地の黄昏!
椰子の並木を縫ひて、
灯火は紅き花と見まがう。
その時我が耳に訪づれし悲歌の哀さよ。
小暗き森の奥に、
時々もれくる鬱憂の月影。
木の葉は眠りより醒めて、
あやしき夜色に顫へ出す。
忽ち響く恐ろしき獣の声!
よろづのものは皆醒めはてぬ。
声かれて歯白ろき、獣と思へば、
吾はたゞ恐怖の為めに伏して在るのみ!
白き墓たちならぶ国!
まへには荒磯の潮騒、………
絶えず訪づれ、
うしろには歓楽の歌きこえて、
また墓石を濡す、
哭泣の哀れも湧く。
こゝにして、悲しめる者相集ひ、
匂ひよき酒を椰子の実に盛り、
互に口をすぼめて飲む時の
うれしさよ!
死は遂に吾れを慰め、………
人生の極みをのぞき見る。
小鳥は、秋の空にさ迷ふ、
吾れは、一つの悲哀をとらへ、
小さき胸に隈なく乱る。
迷ひ、悲しみ、何の益ある、
小鳥よ来れ!手に手をとりて、
花咲き笑ふ南へさらむ。
完
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