中国怪奇小説集
本文約15,700字 ・ 読了時間 約32分
あらすじ(AIが作成しました)
晋の干宝が記した『捜神記』をはじめとする六朝時代の怪異譚を収録する。首が飛ぶ女や山中の妖物、琵琶を弾く鬼、墓あらしの報いを受ける王など、人智を超えた現象や妖しげな存在が登場する。本書は、語り手たちが古典に伝わる不思議な物語を次々と披露する構成をとっており、南方の人種や山林の怪獣、死してもなお現れる術師など、超自然的な出来事が織りなす摩訶不思議な世界を描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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主人の「開会の辞」が終った後、第一の男は語る。
「唯今御主人から御説明がありました通り、今晩のお話は六朝時代から始める筈で、わたくしがその前講を受持つことになりました。なんといっても、この時代の作で最も有名なものは『捜神記』で、ほとんど後世の小説の祖をなしたと言ってもよろしいのです。
この原本の世に伝わるものは二十巻で、晋の干宝の撰ということになって居ります。干宝は東晋の元帝に仕えて著作郎となり、博覧強記をもって聞えた人で、ほかに『晋紀』という歴史も書いて居ります。、但し今日になりますと、干宝が『捜神記』をかいたのは事実であるが、その原本は世に伝わらず、普通に流布するものは偽作である。たとい全部が偽作でなくても、他人の筆がまじっているという説が唱えられて居ります。これは清朝初期の学者たちが言い出したものらしく、また一方には、たといそれが干宝の原本でないとしても、六朝時代に作られたものに相違ないのであるから、後世の人間がいい加減にこしらえた偽作とは、その価値が大いに違うという説もあります。
こういうむずかしい穿索になりますと、浅学のわれわれにはとても判りませんから、ともかくも昔から言い伝えの通りに、晋の干宝の撰ということに致して置いて、すぐに本文の紹介に取りかかりましょう」
首の飛ぶ女
秦の時代に、南方に落頭民という人種があった。その頭がよく飛ぶのである。その人種の集落に祭りがあって、それを虫落という。その虫落にちなんで、落頭民と呼ばれるようになったのである。