番町皿屋敷
本文約11,600字 ・ 読了時間 約24分
あらすじ(AIが作成しました)
江戸の山の手で旗本・青山播磨と町奴の一派が小競り合いを起こす中、播磨の屋敷では腰元のお菊が主人である播磨の愛情を試そうと家宝の皿を打ち割る。不貞を疑われたことに激昂した播磨は、お菊を成敗して井戸へ投げ捨てる。愛と家宝を同時に失った播磨は、その後、町奴との喧嘩に明け暮れる荒れた日々を送る覚悟を決め、槍を手に夜の街へと駆け出していく。
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登場人物
青山播磨
用人 柴田十太夫
奴 權次 權六
青山の腰元 お菊 お仙
澁川の後室 眞弓
放駒四郎兵衞
並木の長吉
橋場の仁助
聖天の萬藏
田町の彌作
ほかに若党 陸尺 茶屋の娘など
第一場
麹町、山王下。正面はたかき石段にて、上には左右に石の駒寄せ、石灯籠などあり。桜の立木の奥に社殿遠くみゆ。石段の下には桜の大樹、これに沿うて上のかたに葭簀張の茶店あり。店さきに床几二脚をおく。明暦の初年、三月なかばの午後。
(幡隨院長兵衞の子分並木の長吉、橋場の仁助は床几に腰をかけてゐる。茶店の娘は茶を出してゐる。宮神楽の音きこゆ。)
娘 お茶一つおあがりなされませ。 長吉 桜も今が丁度盛りだね。 娘 こゝ四五日のところが見頃でござります。それに当年はいつもよりも取分けて見事に咲きました。 長吉 山王の桜といへば、おれたちが生れねえ先からの名物だ。山の手で桜と云やあ先づこゝが一番だらうな。 仁助 それだから俺達もわざ/\下町から登つて来たのだ。それで無けりやああんまり用のねえところだ。 長吉 これ、神様の前で勿体ねえことを云ふな。山王様の罰があたるぞ。 仁助 山王様だつて怖えものか。おれには観音様が附いてゐるのだ。 娘 お背中にぢやあございませんか。(笑ふ。) 仁助 やい、やい、こん畜生。ふざけたことを云やあがるな。 長吉 まあ、静かにしろ。どうせ姐さんに褒められる柄ぢやあねえや。はゝゝゝゝゝゝ。 娘 ほゝ、とんだ粗相を申しました。 (ふたりは茶をのんでゐる。石段の上より青山播磨、廿五歳、七百石の旗本。あみ笠、羽織、袴。あとより權次、權六の二人、いづれも奴にて附添ひ出づ。)
播磨 桜はよく咲いたな。 權次 まるで作り物のやうでござりまする。 權六 たなばたの赤い色紙を引裂いて、そこらへ一度に吹き付けたら、斯うもあらうかと思はれまする。 播磨 はて、むづかしいことを云ふ奴ぢや。それより一口に、祭礼の軒飾りのやうぢやと云へ。はゝゝゝゝゝ。 (三人は笑ひながら石段を降りる。)